マネジメントブログ

第3四半期決算を公表しました+昨日の話題のつづき

本日、「平成29年6月期第3四半期決算短信」を公表しました。
併せて、「為替差益の計上に関するお知らせ」も公表しています。

恒例どおり、四半期決算について簡単な解説を。

平成29年6月期第3四半期決算短信

決算短信で見ていただく範囲の数値や情報の範囲では、目新しい話題はありません。
事業収益はすべてStemline社からの技術アドバイザリーフィーです。
既に公表しているとおり、今期は前期をやや上回るペースで収益を計上しています。

営業損益は、前年同期とほぼ同等、やや低めで推移しています。
これも既に公表しているとおり、CBP501について4月に米国FDAから米国での臨床試験(フェーズ 1b試験)開始の承認を取得しており、現在は臨床試験の開始に向けて急ピッチで準備を進めています。
フェーズ1b試験準備費用の計上は第3四半期まではさほど大きくありませんでしたが、承認を取得した4月以降はもちろん本格化することになります。
1月に公表した通期業績予想が大きくブレることはない見込みです。

「継続企業の前提に関する重要事象等」の記載(※注:いわゆる「GC注記」とは異なります)は継続されます。
このウェブサイトのFAQ

当社は研究開発段階のベンチャー企業であり、研究開発支出が先行することから、現時点では営業損失や営業キャッシュフローのマイナスが生じることは回避しづらく、この「重要事象」の記載は継続しています。

とご説明しているとおりです。

為替差益の計上

少量の外貨建預金(投資や投機の類ではありません)を有しているため、為替の変動に応じて差益や差損が生じます。
キャンバスの場合は全体のボリュームが小さいので、比較的小さな変動額であってもこうやって別途開示をするルールとなっています。
四半期決算のたびにこの開示が出てしまっていますがご了承ください。

✽ ✽ ✽

昨日の河邊のブログ記事『キイトルーダ+化学療法剤2剤併用がFDAに承認されたことの意味』には、おかげさまでこれまでになくたくさんのアクセスと反応をいただきました。
(未読のかたは是非お読みください!)

実際のところ、あの承認のニュースは、キャンバスを力強く勇気づけてくれるものでした。

「免疫系抗癌剤+化学療法」の有望性を早くから指摘してきたことが当たったというだけでなく、
「免疫系抗癌剤は臨床試験の規模が小さくても薬効の兆候データを獲得できる」
という特性についても何よりの形で裏付けてくれたのが、重要なポイントです。
何しろ、承認まで出たわけですから。

「キャンバスが現在準備しているフェーズ1b試験の方向性や設計は間違っていなかった」。
この意を強くして、準備の手にも力が入ります。

ところで、河邊は触れませんでしたが、わずか123人の臨床第2相の結果で承認に至った話の背景について。

この臨床試験では、たとえば奏効率で55%という圧倒的な数値(化学療法2剤のみの対照群は29%)が叩き出されました。
確かに素晴らしい数字ではあるのですが、それだけで承認するほどFDAは甘くありません。
これは大変なレアケースです。

今回、これほど迅速にFDAが承認した背景には、米国における臨床試験情報の獲得しやすさや正確さ、患者団体の発言力、そしてFDAの姿勢があります。

患者さんたちが待ち望んでいる有望な新薬や新しい併用の臨床試験に関して、ClinicalTrials.gov や学会発表・論文などを患者団体が注目しており、新聞や雑誌・ウェブメディアもレベルの高い正確な科学報道でその注目に応えています。
そして、十分に有効と見るや、患者団体からすかさず
「なぜこのような新薬がまだ承認されずに臨床試験を続けているのか」
といった圧力がFDAに届き、FDAもそれに呼応して、必要に応じ迅速な承認に向かう。

何でもかんでも米国でわでわと言いたいわけではさらさらないのですが、
「サイエンスと民主主義の効果的な融合とそれを支える情報の質」
という面については、かの国に見習うべきところはきわめて大きいと思います。