ご挨拶

創薬バイオベンチャー企業キャンバスにご興味をお持ちいただきありがとうございます。

最優先で開発を進めている抗がん剤候補化合物「免疫着火剤」CBP501は、極めて難治とされる膵臓がん3次治療を対象とした臨床試験(フェーズ1b試験)で、免疫系抗がん剤との併用での薬効を示唆する力強いデータを得ることができました。
この感触を踏まえて当社は、承認獲得を目指し、フェーズ2試験の準備を始めています。
第2のパイプラインである可逆的XPO1阻害剤CBS9106は、全世界を対象としたライセンス先である米国Stemline社が、2020年にイタリアMenarini社に買収されました。これにより、従来の米国に加えて将来の本格的な欧州展開も見えてきました。
買収作業やコロナ禍の中でも同社開発チームとの緊密な連携は継続しており、臨床第1相試験も順調に進められています。
キャンバスは、Menarini社・Stemline社とともに、CBS9106/SL-801をベスト・イン・クラスのXPO1阻害剤とすることを目指していきます。

株式会社キャンバス 代表取締役社長 河邊 拓己株式会社キャンバス
代表取締役社長 河邊 拓己

さらに、次世代の臨床開発パイプラインを創出する活動も、自社基礎研究やさまざまなコラボレーションの成果が水面下で育っています。
2020年には、静岡県立大とかねてから共同研究を行っていたIDO/TDO二重阻害剤を、新型コロナウイルス感染症治療薬としても研究することになりました。
また、患者様ひとりひとりのがん細胞の遺伝子変異を利用した抗がん剤感受性予測の研究開発も進んでいます。
今後も、これまで水面下で進めてきた研究がさまざまな形で水面上に現れると期待しています。

今後も当社は、CBP501をはじめとする各パイプラインをライセンスすることによる事業収益計上を通じた資金調達や共同開発・開発費負担軽減を最優先課題として取り組んでいきます。
しかし、より早く患者さんの元にお届けするには、これ以上開発スピードを落とすことはできません。
ROI(投資収益率)やIRR(内部利益率)等の社内試算も厳格に行いつつ、中長期の企業価値最大化のための研究開発投資を積極的かつ継続的に実施したいと考えています。
幸いなことに、臨床開発環境の変化や抗がん剤開発のパラダイムシフトの追い風を受け、ひと昔前には不可能と考えられていた創薬バイオベンチャー企業自身による後期臨床開発の遂行も可能な環境が生まれつつあります。
これまで同様に提携パートナー獲得に向けた交渉を継続しつつ、これと並行して、開発の進展を支える適切な時期・規模の資金調達も引き続き検討していきます。

「創薬バイオベンチャーはわかりづらい」とよく言われます。
その「わかりづらさ」は、正確を期するとどうしても専門用語が多くなったり説明が長くなったりしやすい技術領域であることに加え、時間軸の違いに由来するものも多いと感じています。
研究開発の時間軸はただでさえ長く、特に、創薬産業ではその傾向が顕著です。一般社会の常識的な時間軸とズレが生じやすい面があると認識しています。
当社は、それらのズレを最小化するために、このウェブサイトなどを使った投資家リレーションを通じ当社の魅力や情報の開示を徹底しつつ、今後もスピード感を持って研究開発や事業開発に邁進し、製薬バリューチェーンに高い付加価値をもたらすことを目標としてまいります。

株式会社キャンバス 代表取締役 河邊拓己