前回お届けした株主総会の質疑応答に続いて、2023年9月26日に開催された第24期定時株主総会終了後の株主報告会の質疑応答です。
社長河邊・CFO加登住からお答えした内容をまとめて要約しています。
シンプルに言えば、自社で最後まで開発できる状況を持った上で「良いお話があれば乗ります」とアライアンスの門戸を開いておくということです。
提携先との関係で開発計画に影響のあるようなアライアンスは考えておらず、臨床試験計画との関係は特にありません。
時期についてはまったくわかりません。
他の機会にもよく申し上げていますが、創薬企業が「創薬パイプライン型を目指す」と言ってギョッとされるのは今や日本だけです。米国だけでなく欧州でも、創薬スタートアップやベンチャー企業が開発の主導権を握って自社で開発を進めたり部分的にアライアンスをしたりという姿が標準になっています。アライアンスの現場でも「そんなに良いものだと主張するなら自分で資金を調達して仕上げるほうがいい」という発言が飛び交います。
私たちはおかげさまで、日本にありながらそこに手の届くところまで来ています。ぜひこれを成功例にしたいと考えています。
あくまでも「このくらいの規模で着地するだろう」という私たちの予測を私たちの責任で記載したものです。その中にも注釈しているとおり、今後変更の可能性があります。
はい、一般的なものです。かかるものはもっと期間がかかります。
また、承認申請の期間短縮に直接影響するかどうかはわかりませんが、現在おこなっている協議によって、承認申請時の論点が減る可能性はあると考えているので、余計な時間をかけるつもりはないのですがここはしっかりとやっておきたいと考えています。
一般的に1次治療・2次治療の臨床試験の規模は大きくなります。
私たちが最初に3次治療をターゲットとしている大きな理由のひとつは、3次治療ならば小さな試験で証明できることです。なぜかというと、バックグラウンドがゼロに近いからです。
1次治療・2次治療となると、もともと奏効率が高く無増悪生存期間も長いので、データのばらつきの幅が大きくなります。そのため、統計的に意味のある差(有意差)を証明しようとすると、被験者数がたとえば5倍とか10倍になります。600人・800人は普通、ひょっとしたら1,000人、という世界です。
はい、基本的に変わりません。
守秘義務契約締結先には基本的にすべてのデータを開示します。
情報の開示についてですが、最終試験では、あらゆるバイアスがかからないかをとても厳しく問われます。何を開示するとどういうバイアスがかかるのか等いろいろ考え方はあると思いますが、あらぬ疑いを持たれないためにできるだけ公表する情報を抑制する判断をしなければならないと考えています。そのため、株主・一般投資家を含む公への開示をして良いと私たちが判断する基準は、第2相試験に比べると厳しくなると思われます。
CBP-A08は、基本的にCBP501と同様の効き方をする次世代型です。
CBT005は、私(河邊)は個人的にとても期待しているのですが、免疫着火の最初の部分で、CBP501と異なる方法で着火するイメージで、働き方もまったく違います。
その他の次世代化合物も、それぞれ作用機序はまったく異なるのですが、免疫系を介して働く抗がん剤です。
免疫の仕組みはとても複雑ですから、それぞれの仕組みに合わせたさまざまなものが考えられるのです。
現時点でパイプライン候補としてはっきりと名前を挙げられるのは、CBP-A08、CBT005、IDO/TDO阻害剤です。
それらよりも前の段階にあるものとしてNEXTプロジェクトと総称している中に、将来の候補になりそうなものがあと2つあります。それらは未だ研究段階なので、2つとも消えてしまうかもしれないし、勢いよく芽が出るかもしれないし、何も言えない状態です。
一般的には6ヶ月程度とされています。現在、それを少しでも縮められないかと、前倒しでできる作業を順次詰めているところです。
免疫チェックポイント阻害抗体をどのくらい使うのが良いかについては他でもさまざまに検討されていますが、長く使えば自己免疫疾患などの副作用が出てくることや、そもそも膵臓がん3次治療なので10サイクルを超えて投与可能なケースがさほどおられないことなどから、今のところサイクル数は変えないつもりでいます。
ご質問のものも含めて、可能なものがあればと常にサーチはしていますが、私たちが実際に獲得できそうなものは今のところ少ない状況です。今後も引き続きサーチは続け、可能そうなものはチャレンジしていきます。
抗がん剤には、特定のがんの特徴をとらえて攻撃することでその特定のがんに効くタイプの作用のものと、さまざまながんに共通の特徴をとらえるタイプの作用のものがあります。
CBP501は後者なので、膵臓がん以外のさまざまながんに効く可能性があると私たちは考えていて、実際にこれまでの早期臨床試験では悪性胸膜中皮腫・肺がん・卵巣がん・大腸がんなどでその兆候が得られています。
もちろん、それらを適応とした医薬品として承認されるためには、ひとつひとつ証明していかねばなりません。
それそれのご覧になった患者さんにもよるので、効いた患者さんを診たドクターは好感触を持っているし、残念ながら効かなかった患者さんを診たドクターは良い印象を持っていないというのは当然です。それなので臨床試験では多くの被験者に入っていただいて統計的な差を見ることになっています。
それをご理解いただいた上でお答えするのですが、いちばんわかりやすいのは、2剤併用群のひとつを臨床第2相試験の後半(ステージ2)に進めるかどうかを判断した会議のエピソードだろうと思います。実際に患者さんを担当したドクターたちで会議が開催され、それぞれの意見を出していただきました。その会議で「もうステージ2をやる必要はなく、早く第3相試験に進みなさい」という結論を全員一致でいただきました。
そのように、臨床試験に実際に参加した医師たちの総意として、CBP501は薬にする価値があると考えていただけています。
CROという言葉自体は「企業等との契約に基づいて試験や研究を実施・支援する外部機関」という意味です。
私たちが臨床試験について説明するときに意味しているのは、「臨床試験の実務をやっていただく会社」ということです。
実際にやっていただいている仕事は多岐にわたります。
臨床試験実施計画書(プロトコール)は私たち自身が作るのですが、それ以降、そのプロトコールに従って臨床試験を実際に進めるためには、データの入力方法を決めて徹底したり、副作用などの情報を日々収集・記録して規制当局に報告するための仕組みを作ったりといった細かい重要な仕事がたくさんあります。臨床試験の実施施設を実際に訪問して、昔でいうカルテの記載と試験のために収集したデータ(CRF)に間違いがないかチェックするのもCROの仕事です。
臨床試験は、すべてのそういう仕組みや手順をあらかじめ決めて書面にしておかねばなりませんから、CROと私たちが共同で作らねばならない資料は膨大です。
キャッシュフローの図はそれぞれの時点までのキャッシュイン・キャッシュアウトの累積です。
これからCBP501のキャッシュフローのラインがボトムに達して上向きになるのは、承認を得て上市され売上が立ち、入ってくるキャッシュが出ていくキャッシュを上回るときです。それまでの間はキャッシュアウトが先行しますから、現在はボトムに向かう坂の途中ということになります。
はい、第3相試験の主要評価項目は全生存期間になります。
多くのがんにおいて、承認のための試験の主要評価項目は全生存期間です。乳がんや前立腺がんなど生存の特に長いがんの場合は無増悪生存期間で承認されることがありますが、臨床試験で生存を見ることができるものは、全生存期間がゴールドスタンダードです。
変わることによるご不安ということですが、第2相試験だけでなくこれまでの各種の臨床試験や基礎研究で積み上げてきたデータの一致からして、私(河邊)は大丈夫だろうと考えているところです。ただ、当たり前のことですが、これまでの比較的少人数でのデータで「絶対」などとは言えません。
そもそも、膵臓がん3次治療で3ヶ月の無増悪生存は、一般に10%未満などと表現されていますが、実際にはほとんどない状態ですから、それを35%と置いた第2相試験の主要評価項目の基準自体がとてもインパクトのある数字です。
無増悪生存はあくまでも代替指標ですが、膵臓がん1次治療・2次治療と異なり3次治療は過去のデータのばらつきが小さいので、これを達成したという意味で、全生存期間のほうも期待を持って良い数字だと私は考えています。
全生存期間の比較について少し追加でご説明します。
全生存期間の中央値による比較というのは、生存曲線の開き方がずっと均一(「ハザードが均一」といいます)と想定しておこなわれます。
しかし実際問題としては、従来の細胞障害性抗がん剤ではそれが比較的なりたつのですが、免疫チェックポイント阻害抗体の場合は、途中までぜんぜん生存曲線が分かれず、最後になって分かれるというケースがあります。この差を見るために、統計的な処理の手法も異なります。
したがって、ほかの場合とは中央値の意味が異なりますから、中央値の数字だけで判断すると間違えることがあります。
具体的な数値に基づくディスカッションは学会発表前なので差し控えますが、こういう点についてもぜひ正しくご理解いただきたく、学会発表後にしっかりとお伝えしていきます。
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