マネジメントブログ

8月10日開示資料のご説明と質疑応答など

山の日連休前の8月10日(木)、2023年6月期決算短信と『事業計画及び成⻑可能性に関するご説明資料』など4点を公表しました。

公表直後からさっそく、公式ツイッターで活発な質疑応答が展開されました。
たくさんのご注目の表れであり、まずは御礼を申し上げます。

ただ、ツイッターは基本的に一問一答形式なので、ご質問に偏りがあると回答も偏りが生じてしまいます。これらの資料で私たちがお伝えしたい重点とは異なる印象をお持ちになったかもしれません。
このブログ記事ではその点を踏まえ、ツイッターでの主な質疑をご紹介しつつ、私たちがこれらの資料などでお伝えしたいことを整理しておきます。
なお、ツイッターでの質疑をそのまま転載するとブログでは却って読みづらくなるので、文章の一部を修正したり、いくつかの質疑に分散しているものをまとめたりしています。文意は変えていませんのでご了承ください。

2023年6月期決算はかねてお伝えしていたとおりの内容で着地しました

2023年6月期決算短信で、去る7月3日に公表した『2023年6⽉期の通期業績予想に関するお知らせ』どおりの着地をお伝えしました。
営業外損益や特別利益の計上(取引所の規定に基づき8月10日の決算短信と同時に別途開示しました)も、既にお知らせした見通しどおりです。

最終赤字の急増かと思われ「今後の開発に支障はないのか」のお問合せもいただきましたが、こちらの図でおわかりいただけるとおり、CBP501臨床第2相試験で増加していた(現在は既にピークを越えている)臨床開発費が主な内容です。
販売費及び一般管理費の増加も見て取れますが、ここにも今回の資金調達関連の費用が含まれています。基礎研究費も含めて、日常的な費用はほぼ増加していません。
まとめとしては、最終赤字の増加は主に2023年6月期特有の事情によるもので、今後の推移への影響はありません。

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一方、ご心配いただきがちな貸借対照表については、2022年6月期末から大きく改善しました。
主な変化はもちろん、2021年9月に発行していた第17回新株予約権の行使進捗と2023年6月の第三者割当新株発行による資本調達です。これらを活用して、今後の臨床試験の準備や基礎研究を進めています。
また、これも既にお知らせしているように、2023年6月期決算を締めたあとも、2023年6月発行の第19回新株予約権の行使による資本調達が進行しています。

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その他2023年6月期決算については、8月22日予定のアナリスト・報道機関向け決算説明会(いつものように動画配信などを予定しています)や、8月26日予定のIRセミナーなどでもお伝えしていきます。

『成長可能性説明資料』の一部を改訂・更新しました

事業計画及び成⻑可能性に関するご説明資料』(以下『成長可能性説明資料』)とは、投資家の皆さまへ合理的な投資判断を促す観点から、進捗状況を反映した最新の内容による年1回以上の開示が東京証券取引所グロース市場上場企業に義務付けられているものです。(東京証券取引所による制度概要説明はこちら
内容としては「ビジネスモデル」「市場環境・競合環境」「競争力の源泉」「事業計画・重視する経営指標」「リスク情報」などの開示が想定されていて、私たちの場合は現在まだ先行投資段階で事業計画や経営指標の定量的な記載が難しいぶん、ビジネスモデル、将来の市場環境や収益の見通しの判断材料や目安、競争力の源泉、リスク情報などをやや詳しく記載しているのが特徴です。

私たちは今回、前年公表の資料からいくつかの点を改訂しました。

CBP501の開発ビジネスモデルを明記

CBP501について、開発途上段階での製薬企業等との提携を必ずしも前提とせず開発リスクを後期まで自社で負いリターンの最大化を図る「創薬パイプライン型」モデルでの開発を志向している旨を明記しました。
この点については、不定期更新の「会社プレゼンテーション資料」(これも今回、8月版を公表しました)などで以前から公表済みですが、これに対する反応で
「承認まで絶対に提携をしないのか」
「自社で販売や生産の体制はどうするのか」
といった反応が多かったことも踏まえ、「適応や地域などの部分的導出やアライアンスなど多彩な戦略を並⾏できる」「柔軟に対応する」といった表現を盛り込みました。
将来の利益見通しをもとにしたパイプライン価値試算の目安のページで、昨年までは「上市後の売上⾼・利益の想定」を記載していたものを今回から「末端販売高とロイヤルティの想定」による表示に変更しました。この変更も、こういった反応を踏まえて「開発最終段階での販売委託提携」の想定例をお示しすることにしたものです。将来の計画としてそのような固定的な想定を置いているわけではありません(念のため)。

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CBP501の開発期間目標の表現改訂

CBP501の目標上市時期として、これまで「2025末〜27年」のレンジで表現していましたが、⽬標とするレンジの中で理想的最速を想定した「2025年末」の実現可能性が開発の進捗状況に応じて低下したことから、⽬標の表現を改訂しました。
諸状況の推移を踏まえて今後は目標時期の「お尻」側のみ表示することにしたものです。
ご紹介資料の別ページの図のとおり2027年までの上市が現在の目標であり、実質的に(アタマ以外は)これまでと変わっていません。

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この改定に対して、たくさんのご質問が公式ツイッターに寄せられました。

「最速25年末だったのが最速27年へ2年遅れるような受け取り方をされている方が多いように感じます」
というご質問には、こうお答えしました。

目標レンジの「アタマ」は残念ながら可能性が低いと判断したのでこのようにしましたが、「2027年」を新たな「アタマ」にしたわけではなく、「お尻」はこれまでと変わっていません。
「お尻」を変える必要も、現時点ではないと判断しています。

「CBP501の薬効や安全性など開発の成功可能性が変動したせいで目標上市時期を修正したのではないか」
との趣旨のご質問には、このようにお答えしました。

今回、目標時期のうち最速を示していた箇所のみ表示を変更したのですが、その背景にCBP501の薬効や安全性など開発の成功可能性に関する変動が隠されていると疑念される声があるようなので、それについては明確に否定します。
10月に予定されている学会発表でご確認いただけることです。
私たちの情報開示姿勢としても、もしその点が変動するような事実があった場合には、その旨を明示してお知らせします。

また、このようなお答えもしています。

臨床試験の進行には、私たちの努力や工夫だけでは必要期間をコントロールできないものが多数存在します。今回、次の臨床試験の開始に向けた規制当局との協議が理想的な最速ペースでは実現できなかったことから、残念ですが2025末の実現可能性は低下したと判断しました。
理想的な最速でないとはいえ、通常程度の時間軸では進んでいると認識しています。

 

現在の一連のすり合わせや協議では、規制当局からこれまでの臨床第2相試験までに出ていなかったものも含むさまざまな指摘やコメントがあり、それらを含めてひとつひとつ解決していくプロセスにあります。
そう書くと無闇に不安がられてしまうかもしれませんが、そういうわけではありません。当局は、新薬を世に出すための機関であると同時に、不確かな薬を世に出さないための規制当局です。これまでにない視点を含むさまざまな側面から薬効や安全性の証明を繰り返し確認するのは当然のことです。ましてや、承認申請のための最終試験となればなおさらです。
また逆に言えば、こうした論点を現時点で洗い出しておくと、最終試験後にそういった議論が出てくるリスク・成功確率の低下をそのぶん減らすことができるので、現段階で時間をかけて十分な協議をしておくのは好ましいことであるとも言えます。
かかった時間を無駄にせずそのぶん成功確率を高めることができるよう、当局との協議に取り組んでいます。

取締役に対する譲渡制限付株式報酬制度の導⼊計画を公表しました

ほとんどご質問が来ていませんが、『譲渡制限付株式報酬制度の導⼊に関するお知らせ』を公表しました。

当社取締役(監査等委員を含む)に対し、株式報酬として譲渡制限株式(RS)を割当てる計画を公表したものです。
このためには株主総会のご承認が必要なことから、9月開催予定の定時株主総会で株主の皆様にご承認いただくことが条件となります。

株式報酬は、ストック・オプションと同様に、足元のキャッシュ・アウトを抑制しつつ、当社の企業価値の持続的な向上を図る動機を当社経営者に与え、対象取締役と株主・投資家の皆様との価値共有を一層進めることを⽬的とした報酬です。内容は、RSとして一般的かつシンプルな条件としています。

これまでに増して、企業価値の創出・向上に意識を向けた経営を促すものです。また、既に株主総会でご承認いただいている報酬枠に変更はありません。
株主の皆様にはぜひご精読の上ご承認を賜りますようお願い申し上げます。

まとめ

CBP501目標上市時期の「アタマ」を削除したという点が過度に(しかも「最速目標が変わった」という誤解や「裏に開発の成功可能性に関する変動が隠されているのでは」といった疑念が綯い交ぜになって)反応され、同時にお伝えしているたくさんの情報が埋もれてしまいました。
残念なことに、それらの誤解や疑念を生むさまざまな流言蜚語や誹謗中傷があったことも把握しています。

現下の最大のご注目点であるCBP501臨床試験の進行についてお伝えできる情報量がきわめて限られてしまっている中で、過度なご反応や誤解や疑念はしかたのない面もありますが、それでも解くべき誤解や疑念はしっかりと解いておきたいと考えました。

私たちが自信を持って一連の過程に臨んでいることを皆さんにお伝えしたい一方で、当局とのやりとりということで避けられない不確実性も併せてお伝えしなければならず、表現に両面があってわかりにくいのだと思います。
(公式ツイッター回答の一部)

私たちがCBP501開発成功に向けて抱いている自信はいささかも揺らいでおらず、これからも、さまざまなプレスリリースや投資家リレーション、株主総会や報告会、10月予定の学会発表などを通じて、皆さんとそれを共有できると考えています。
ぜひ引き続きご支援(ご声援だけでもとても大きな力になります)を賜りますようお願い申し上げます。