本日、「第三者割当による行使価額修正条項付第17回新株予約権及び第4回無担保転換社債型新株予約権付社債(リファイナンス)の発行に関するお知らせ」を公表しました。
このファイナンス(およびリファイナンス)について、プレスリリースの内容を補足ご説明します。
現時点で当社が有している現預金は、これから1年程度にわたって実施するCBP501臨床第2相試験ステージ1と中間解析を完了させるに十分なものです。
1年程度先に実施する中間解析の結果によって、その次の行動は
「承認申請のための第3相試験に進む」
「第2相試験ステージ2を実施し、第3相試験の規模を小さくできるよう(不要な投与群を落とすよう)試みる」
の2とおり*があります。
今回のファイナンスは、この2とおりのいずれになっても迅速に前進するための資金調達です。
*もうひとつ「CBP501の開発を終了する」もあり得ますが、この確率は2%〜22%と見ており、このシナリオに関するご説明はこの記事では省略します。
2021年6月期決算説明会37頁でお伝えしているように私たちは、当社の現在の時価総額(企業価値)はさまざまなディスカウント要因によって過小評価されていると考えています。
その大きな要素のひとつは
「開発が成功に向かっているのはわかったが、そこまでの開発資金はどうやって確保するの?」
という懸念であると考えており、今回の資金調達はその懸念の解消を図るものです。
併せて、転換価額と直近株価の乖離が大きく転換の蓋然性の低い第3回転換社債約750百万円を買い入れ(返済し)、新たな転換価額によってほぼ同額の転換社債を発行します。
これらを合わせると、仮にすべてが下限で行使転換された場合に新規に発行する株数の比率、いわゆる希薄化率は高くなりました。
この点では、既存株主の皆様に短期的にはご心配をおかけするかもしれません。
しかしながら、上記の「開発資金調達への懸念」の解消にならない小規模なファイナンスを繰り返すのではなく、合理的な範囲で、次の段階の開発資金として十分な規模のファイナンスを実行することが、当社の中長期的な企業価値向上にはより有効であると判断しました。
過小評価の話になると必ず
「製薬企業等との提携がないと評価できない」
という声が寄せられます。
私たちはその声について、「提携があるとわかりやすい」という部分について同感で、そのために提携獲得努力は現在も続けています。
一方で、「提携がないとわかりにくい」「提携がないとダメ」については、そうではないと考えていますし、これから私たち自身がその反例のひとつとなるよう努めていきたいと考えています。
まず、「提携がないとわかりにくい」について。
まだ理論段階や試験管段階、動物実験段階、臨床試験初期のものについては、たしかに「提携がないとわかりにくい」というのはごもっともです。
いわゆる「海の物とも山の物ともつかぬ」という状態ですから、誰か他の人(会社)が評価しているかどうかを見たいのは当然です。
しかし、キャンバスのパイプラインのうちCBP501は、その状態を既に通り過ぎ、過去の承認薬の臨床試験や現在の競合臨床試験と数字で比較することのできる、かなり「わかりやすい」状態になっています。
また、成功(上市)時の価値予測についてもまだ承認を目指す適応疾患も決まっていない状態で見えるものと比べるとかなり「わかりやすい」ものになっていますし、そもそもその実現確率も向上しているし、実現までの想定時間も短くなっています。
「わかりにくい」とお寄せいただいている声をますますの励みとして、これからさらに「わかりやすい」情報を提供していきます。
この機会に、株主・投資家の皆様にも、ぜひ「わかりにくいに決まっている」という先入観をいちど横に置いて、私たちの発信やアナリストレポートをしっかりと読み込んでいただきたいと思います。
「わかりにくさ」を解消するためのご質問は大歓迎です。
次に、「提携がないとダメ」について。
この考え方は、「もし良いものならばプロである製薬企業が提携するはず」という前提で言われてきたことです。
実際に十数年前までは、そうした考え方が妥当だったと思います。
製薬企業等は合従連衡の生き残りを賭けて創薬企業のパイプラインを早期後期問わず買って回っていましたし、その競争の激化につれて提携の金額も上がっていました。
しかし、(私たちだけが言っているのではないのでぜひ皆様自身で別途ご確認いただきたいのですが、)その環境は現在までに様変わりしています。
フェアリサーチ社の最新レポートでも触れられているとおり、大手製薬企業の導入活動は現在、流行のモダリティや成功が見えている後期開発品に集中しています。
製薬企業等の担当者が目利きのプロでないと言いたいわけではありません。
むしろプロだからこそ、自分の目利きだけで決めるのでなく、経営が興味を持たない流行外のものはたとえ良いものでも導入せず、流行のものはたとえ少々ダメに見えても導入するのでしょう。
その結果、臨床開発中期までの段階で流行のモダリティでない開発品においては、「提携があること」と「ダメかダメでないか」がほとんど相関しなくなりました。
現在、投資家の皆さんが投資判断にあたって第三者評価として代用するにはあまり適切でないものになっています。
たとえば、「免疫チェックポイント阻害抗体とXXXを併用する」というコンセプトは臨床開発現場において注目度の最も高いもののひとつで、その中でも「従来型抗がん剤」の注目度の高まりは数字に現れています。
2021年6月期決算説明会33頁をご参照ください。
そして、CBP501+シスプラチンがその候補として最有力のひとつと言えるデータを出しているのも、客観的な事実です。
しかしながら、製薬企業のいう「流行のモダリティ」には該当しません。
また、「後期開発品」と誰もが呼ぶにはもう少しかかります。
ほぼその2つの理由だけで、製薬企業等の多くは検討の対象にしません。
ダメかどうかを判断していないのです。
この傾向はかなり以前から私たちも投資家リレーションの中でご説明してきましたが、このところますます顕著になっています。
これをもとに、「だからダメなんだ」と言って諦めたり、「それでもご評価いただけるなら」と条件を度外視して提携をしたりするのでは、ベンチャー企業が存在する意義がありません。
「流行のモダリティ」「後期開発品」に該当しない創薬プロジェクトの評価を製薬企業等が放棄しているに等しい現状において、需給関係に逆らって正当さに欠けるかもしれない製薬企業等の評価に委ねるのでなく、より正当な評価を株式市場に委ねることは、中長期的な株主価値を最大化して投資家の皆様にお応えするべきベンチャー企業として最も合理的な行動であると考えています。
今回のファイナンスの中心は、第17回新株予約権(行使価額修正条項付)による資金調達です。
当初行使価額で約20億円の調達を設計しており、この資金は
に充当する予定です。
併せて、2年前に発行した第3回転換社債のリファイナンス(借り換え)のために第4回転換社債を実行しますが、これによる新規調達はありません。
ファイナンスの内容に関するより詳しいご説明やFAQについては、長くなるので稿を改めます。
今回のファイナンスによってCBP501の価値は、少なくとも臨床第3相試験の入り口まで、製薬企業等に分けることなく100%が株主・投資家の皆様のものとなります。
その後は、CBP501が臨床第2相試験で実際に発揮したデータや、提携マーケットの動向、そしてもちろん株式市場の動向も踏まえて、その時点で最良の経営判断をしていきます。
単純な資本政策の話ですが、ファイナンスによって得ることのできる調達金額を上回る価値を創出できれば、ファイナンス前よりも株価は上がります。
その価値を実現するのは私たちであり、また、その価値を日々ご評価いただく株主・投資家の皆様でもあります。
今後も(特に開発の進捗と意義、価値について)投資家リレーションの充実に努め、足元の株価の面でも中長期的な企業価値の面でも、もちろん新薬の登場をお待ちいただいている患者の皆様にも、一日も早く結果をお届けしたいと考えています。
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