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【Q&A】免疫系抗癌剤の効かない癌にCBP501が効くメカニズムの仮説と検証

2020年11月20日 15:00

河邊 拓己

先日、IR問い合わせメールへいただいたご質問にツイッター連続投稿でお答えしたところ、同業他社や機関投資家のかたがたから予想外のご好評をいただきました。
「ツイッター連続投稿では読みづらいので1箇所にまとめては」
とのご指摘もあったので、以下、多少加筆修正してブログに再掲載することにします。

Q:会社プレゼンテーション資料18頁の生検サンプル分析の表で、治療前のPD-L1発現レベルが低くCD8がほぼゼロの患者(A、B)ではよく効いて、PD-L1・CD8ともに十分と思われる患者(C、D)で効きが良くないのはなぜでしょうか?

A:このデータは、免疫チェックポイント阻害抗体(オプジーボなど。以下「ICI」)の効かない癌にCBP501が効くメカニズムに関する私たちの仮説
「CBP501+プラチナ系抗癌剤は免疫系抗癌剤の効かない『免疫コールド』状態を改善する」
の検証です。

数は少ないものの、仮説どおりのことが起きました。
このことは、私たちがCBP501フェーズ1b試験の結果に自信を抱いている、大きな根拠のひとつとなっています。

治療前のAさん・Bさんの癌組織は、それを攻撃する免疫細胞であるCD8発現T細胞のほぼいない「免疫コールド」 (Immune-excluded, Cold tumor)と呼ばれる状態です。
免疫系が癌組織の存在を見つけられずCD8のいない状態(免疫コールドのひどい状態)を「免疫砂漠」(Immune-desert)と呼ぶこともあります。

そのため、防御のための分子PD-L1も(防御の必要がないので)発現していません。
ICIは
「癌の防御を阻害する薬」
なので、これでは効果を発揮することができません。

免疫コールドな状態でICIが効かないことはよく知られており、これを解決できればICIの効く患者さんが増加すると考えられることから、多くの製薬企業や創薬企業が「免疫コールド」な状態を「免疫ホット」(Immune-inflamed, Hot tumor)にする方法を求めて研究開発を進めています。

私たちは、CBP501(+プラチナ系抗癌剤)が「免疫コールド」を「免疫ホット」に変え、それによってICIの効く患者さんが増加するという仮説を持っていました。
(その仮説を持つに至った根拠としては、CBP501が癌細胞の免疫原性細胞死を増やすことによって免疫系に癌の所在を知らせることなどが挙げられます。ここでは長くなるので触れません)
この仮説どおりならば、「免疫ホット」にする方法を探している抗癌剤開発市場において、CBP501の魅力をアピールすることができます。

そこでキャンバスは、この仮説を検証するために、フェーズ1b試験の設計に生検サンプル採取を盛り込み、CD8発現細胞の割合を確認することにしたのです。

すると、治療前の癌組織にCD8細胞がほとんど存在しなかった患者さん(Aさん・Bさん)では、私たちのCBP501を含む3剤併用治療によってCD8細胞が癌組織に進入してきて(免疫ホットになって)、癌への攻撃を始めました。
これに応じて癌のほうもPD-L1を発現して対抗しようとしたのが「投与後」です。
Aさん・Bさんの無増悪生存期間の長さは、こうしてICIが効くようになった結果だと考えることができます。

一方、Cさん・Dさんは、治療前からCD8細胞がいて、癌のほうも防御のためのPD-L1を発現しています。
CD8の攻撃体勢はととのっているのに、癌は育っている。
ということは、既にCさん・Dさんの癌は、その部分以外の方法でこの攻撃から逃れる術を身につけていると考えられます。

この状態(CD8がいて、癌はPD-L1を発現している)の患者さんの場合、2割程度はICIだけで効果が出る可能性がありますが、残り8割の場合は効果がありません。
(この2割と8割のどちらなのかを事前に見極める方法も、多くの製薬企業や創薬企業が研究開発を進めています。)
残念ながらCBP501+プラチナ系抗癌剤+ICIでも同様で、別の攻撃が必要になります。
実際に、Cさん・Dさんにおいては無増悪生存期間が短いままでした。

これらのデータから私たちは、CBP501(+プラチナ系抗癌剤)が「免疫コールド」を「免疫ホット」に変え、それによってICIの効く患者さんが増加するという仮説の正しさが示唆されたと考えています。

なお、このCD8細胞の増え方を「増えたと言ってもほんの少しじゃないか」と思われるかもしれません。
しかし、CD8細胞は1つで癌細胞を50とか100攻撃すると考えられているので、0や0.1未満を1〜5%に上げるのは、免疫コールドや免疫砂漠を免疫ホットに変える途轍もなく大きなできごとなのです。

こうした仮説検証データを踏まえて私たちは、CBP501は次相臨床試験に進める価値のある新規抗癌剤化合物であると判断しました。
これを機会にさらに深くCBP501にご興味を持っていただけると幸いです。

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