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東洋経済オンラインでランクインしていました

2016年01月27日 15:00

加登住 眞

「キャンバスが東洋経済オンラインの記事で上位にランクインしてますね(笑)」
友人から情報が届き、確認しに行ったところ、こちらの記事でした。

東洋経済オンライン 「カネを持て余している」300社ランキング

この記事によると、キャンバスは全上場企業中「カネを持て余している」ランキングで27位だそうです。


手元資金の「絶対額」を並べて読者による企業分析のヒントとするならまだしも、この「総資産に対する比率」のランキングには(ヒントとしてすら)あまり意味がありません。
真面目に採りあげるのもオトナ気ないのですが、「持て余している」という表現はさすがに如何なものかと思う面もあり、この記事を真に受けてしまう人が出てきてもよろしくないので、ちゃんと解説をしておくことにします。


まず結論から。
キャンバスは決して手元資金を「持て余して」などいません。
仮にいま現在の10倍や20倍の手元資金があったとしても、将来の企業価値を増大するためにすぐにでも使いたい用途はたくさんあります。
その意味では、足りないくらいです。
キャンバスに限らず、この「ランキング」に並んでいる他の創薬バイオ企業の皆さんもきっと同じ思いでしょう。


キャンバスを含めた創薬バイオ企業が上位に並んでいる要因として、記事では
《要は土地や建物、生産設備が少ない分、総資産に占めるキャッシュの割合が高くなりがちになっている》
とされています。
しかし、その要因は確かにあるし、その要因でこのランキングに入ったと思われる会社もありますが、こと創薬バイオ企業に関して言えば、それは主要因ではまったくありません。
また、別の箇所ではこの比率をもとに
《もちろん、財務的な安全性は高いだろう》
などとしていますが、「もちろん」、財務安全性はこの数字だけでは何も判断できません。


創薬バイオ企業が手元資金保有比率「ランキング」上位に並ぶ理由を簡単にご説明します。
(わかりやすく表現するために用語を簡略化しています。また、創薬バイオ企業といってもひとくくりにできるものではありませんが、説明の都合上、相違を無視しています。)


まず、営業活動によってキャッシュフローを生み出していないこと。
キャンバスも含め、この表に並んでいる創薬バイオ企業の多くは、今後数年にわたり営業活動によるキャッシュインフローを上回る研究開発キャッシュアウトが必要な段階にあります。
営業損失を計上し、あるいは営業キャッシュフローがマイナスの会社にとって、向こう数年分の営業キャッシュアウトをまかなう手元資金を保有していることは、継続的な企業活動を維持するために不可欠です。

次に、近い将来の研究開発投資計画があり、しかもその投資金額が他業種に比べてきわめて大きいこと。
このブログをお読みのかたは先刻ご承知のとおり、創薬の研究開発費はおしなべてきわめて多額です。
既に見えている多額の支出に備え、前もって資金を調達して手元資金として保有しておくのは、企業として、いや企業でなくても、当然のことです。
子供の大学受験を控えた家庭が受験料や入学金の支出に備えて普通預金を保有しておくことを「キャッシュを持て余している」とは誰も言いません。

さらに、創薬バイオ企業の場合、研究開発投資が生み出す収益の見通しの不透明さと時間の長さが加わるため、資金調達方法も一般の企業とは異なります。
たとえば一般の製造業の会社が工場を建設するような場合には、その設備投資による収益計上見通しに基づく返済原資獲得の見通しを示し、必要であれば取得する工場用地を担保に供したりすることによって、設備投資費用を新規に借入れることができます。
したがって、常日頃から手元資金を溜め込んでいる必要性は(バイオ企業と比較すると相対的に)あまり大きくありません。
一方、創薬事業における開発投資は、工場を建てれば生産量や利益を高められ返済原資を生み出せるといったようなサイクルの速い確実なお金の回り方ではありません。
まず、開発投資の成功確率の問題があります。創薬開発の成功確率は、工場を建設して増産した製品が売れて利益が出る確率とは桁違いに小さいのです。
また、成功するとしてもその実現までにかかる時間の問題があります。
かりに成功確率が100%だとしても「7年後から収益が立つのでそれで返済します」で融資してくれる金融機関は(ほぼ)ありません。
工場を建てるのと違って担保もありません。
したがって、研究開発資金の調達方法は多くの場合、エクイティ調達(新株発行を伴う資金調達)に事実上限られます。
エクイティ調達はその性質上、必要なときに必要な額を機動的に調達できるものではありません。

つまり、研究開発段階の創薬バイオ企業は、東洋経済の記事の(あまり品が良いとは思えない)表現を借りれば「持て余す」くらいに手元資金を持っていないと事業が成立しないのです。


このブログと併読しておられる賢明な東洋経済オンライン読者各位におかれましては、このような事情を踏まえてあの「ランキング」からまず創薬バイオ企業(キャンバスを含めて)を除外してから再読していただきますようお願いします。

キャンバスとしては、次回はちゃんとした誇らしいランキングで東洋経済に載せていただけるよう引き続き頑張りたいものです。


最後にキャンバスの手元資金の内容についてご説明しておこうと思ったのですが、あいにく今は第2四半期を締めている最中のいわゆる「沈黙期間」なので、やめておきます。
(記事で示されている第1四半期の数字をベースにお話しすることもできなくはないのですが、せっかくリアルタイムのブログでわざわざ古い情報をお話しすることになってしまい誤解の元になってもいけないので…。)


キャンバスの2016年6月期第2四半期決算は、2月12日(金)発表予定です。

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