9月27日、第25期定時株主総会と株主報告会を開催しました。
今年も多数の株主の皆様にご参加いただき、ありがとうございました。
株主総会 招集ご通知
株主報告会 投影資料
定時株主総会では、監査等委員である取締役3名選任議案に関して
「社外取締役3名がそれぞれ当社の経営にどのように寄与しているのか、個別にお聴きしたい」
というご質問1件があり、小宮山取締役・白川取締役・古田取締役からそれぞれ回答しました。
続いて開催した株主報告会では、45分ほどのご報告のあと30分ほどの質疑応答時間を設けました。
そこで行われた質疑応答をお伝えします。
ご質問を短く要約している点、ご容赦ください。回答も、社長河邊・CFO加登住からお答えした内容をまとめています。
規制当局は明確な理由を示さないので、直接ディスカッションしていた私たちの推測をお話しすると、「3剤併用」であることがキーだったと思われます。
従来の抗がん剤併用のスタンダードは「ひとつひとつの承認があってそれらを組み合わせる」というものでした。その後、免疫系抗がん剤の世の中になってから、ひとつでは効かないが組み合わせると有効で、考え方・作用メカニズム上もそうだというケースが増えてきています。CBP501の3剤併用もそのひとつです。
しかし、規制当局の承認姿勢はその変化に追いついていないようで、承認された実例もいくつかあるものの、ハッキリした指針としてはまだあやふやなのだと推測されます。
その状況で、もしCBP501の3剤併用が「第3相試験」で統計的に有意な効果を示すと、方針のあやふやなまま承認することになってしまいます。そうなることを、規制当局(特に今回の審査担当官)が忌避したのではないかと想像しています。あくまでも想像です。
審査担当官による判断の違いもあります。私たちが規制当局の作成したガイドライン(本来は担当官もそれに沿って判断するべきとされています)どおりの主張をしたのに最終的に却下された点などもありました。
臨床第2b相試験として開始承認された臨床試験は、私たちが第3相試験として開始申請した内容とほとんど同じものでした。最終的にその内容の試験が承認されたということは、安全性や有効性など誰が審査しても同様の結果が出されるような問題ではなく、担当官の個別裁量による側面が大きかったのではないかと思われます。
背景として、昨今の大手製薬会社の提携行動は、承認が確実になっているものを大金で買うか、新しい領域や技術に着目していることを示すためのまだどうなるかわからない段階の提携か、その両極端になっています。しばらく前からその傾向はあり、最近とくに強まっている感触があります。
そんな背景の中でCBP501は、昔ながらの「全世界まるごとの開発権を買う」ような提携アプローチの対象にはなりづらい状況であり、実際、そういった話はないに等しいです。
一方、具体的な地域名は言いづらいのですが、私たちがターゲットとしている日本・米国・欧州以外の地域の製薬企業等から「当地の規制当局対応や試験は自分たちでやるのでエリアの権利をくれないか」というお話が舞い込み個別に対応していますから、そういう可能性はあります。
CBP501の開発が現在地点まで進んできて、「せっかくここまで株主に負担をかけて創薬パイプライン型で進めてきたのだから最後までやれ」とお考えの株主・投資家のかたも少なくありません。
とはいえご質問のように「提携の可能性があるならばそのほうが良い」というご意見もあります。
それら両方を総合すると、
「提携するならばきちんと良い条件(金額や内容)を獲得しろ、そうでないなら最後までやれ」
が、個別には違いがあるかもしれないけれど現在の株主の皆さんの総意だろうと私たちは考えていて、そうやっていくつもりです。
国策として報じられているのは主に、日本に創薬ベンチャーの起業を増やし、その初期をしっかり育てていくために数億円オーダーで支援しようという内容です。
私たちは既に上場しているし、金額オーダーも合わないので、私たちが対象になりづらいものです。
また、CBP501について私たちが海外で臨床試験をしていることも、そうした支援の対象から外れがちになる一因です。
私たちは、そういう早期ベンチャーへの支援も大切である一方で数十億円オーダーで必要になる臨床試験段階のベンチャーへの取り組みも重要であり、是非そのありかたを検討していただけるよう、機会をとらえて主張し、さまざまな窓口を通じて働きかけています。
聞き入れられるかどうかはともかく、私たち自身や後進の創薬企業群のためにも動いています。
欧州の手続きはひとことで「申請」と言っても多数の書類や手続き・協議があり、その最初の段階が始まったことを2月に公表しました。そのあとにもいくつもステップがあり、順次申請をしています。
臨床試験実施施設の選定などは開始申請と同時並行で進めていて、開始承認が得られたら迅速に事務が進められるよう契約などの手配をしています。
具体的な兆候はありませんが、とはいえ、いつどんな内容の話が来るのか私たちにも予測できません。おそらく、感触も兆候もないままいきなり来るのかなと思っています。
米国も、私たちとしては第3相試験ができるだろうと予想していたところにいきなり話が飛んできました。 その後のディスカッションでも、ガイドラインに沿った十分な回答をしたはずのものが数ヶ月後の返答で採用されていなかったこともありました。さらに、そうしたやりとりの回答の待ち時間の長さも大変なものでした。
欧州についても同様の可能性は否定できないと思っています。ただ、オーファンドラッグ指定のように、私たちはもっと時間がかかるだろうと思っていたところにある日突然指定通知が来たりもしています。本当に、良いほうも悪いほうもわかりません。
臨床試験は、カットオフしたらもうスポンサーである私たちは一切接触したりデータを受け取ったりしてはいけないというルールです。そのため、現在のご存命状況はわかりません。
規制当局との開始申請途上には思わぬ落とし穴もあるので気をつけねばならないのですが、開始承認はそういったリスクがすべてクリアになったあとで受け取りますから、そのようなリスクはありません。
第3相試験開始後のリスクとしては、たとえば患者様の死亡例が想定よりもかなり多発するなど、これまでの試験ではわからなかった悪いことが起きる可能性はあります。
また、中間解析(実際に中間解析のあるプロトコールになるかどうかは未定ですが)を通過できるかどうかという点もあります。
なお、中間解析と言っても第3相試験なので、バイアスを避けるために、中間解析の判断材料である実際のデータは私たちに知らされません。唯一わかるのは「中間解析でダメと言われなかったかどうか」の結果だけです。
まとめると、第3相試験開始後の情報のわかりかたとしては、「悪い情報は即座にわかり、良いほうの情報は最後までわからない」ということになります。
時価総額についてはコメントしづらいのですが、あくまで個人的には、臨床第3相試験が遅かれ早かれ始まるのだろうと思っておられるかたにとっては安すぎ、きっと始まらないだろうと思っておられるかたにとってはそうでもないのだと思っています。私は臨床第3相試験が始まると思っていますから、ご質問いただいたのと同じ考えです。
TOBとなると話は単純でありません。もちろん私たちは現時点で、自分たちが株主の皆さんからキャンバスの経営をご付託いただくベストの布陣だと自信を持っていますが、買収されて新しい経営陣になることが株主の皆さんにとってハッピーなことだと判断される可能性もあります。それを「防衛」するのは企業の防衛でなく私たち経営陣の保身でしかないかもしれません。
そのような考えに基づいて、私たちは何でもかんでも自衛できるような防衛策はとっていません。そういったことがもし起きた場合には、その都度、具体的な内容に沿って株主の皆さんのご判断を仰ぐ考えです。
東証グロース市場の上場廃止基準に「売上高」はありません。
「事業計画及び成長可能性に関する事項」をきちんとお示しできている限り、当社が今後もし引っかかるとすれば「時価総額基準(40億円)」のみです。おかげさまで、当面の心配はなさそうと考えています。
さきほどのご説明資料でもお話ししたとおり、欧州臨床第3相試験開始申請獲得の時期については不確実性が存在します。
「いつまでには大丈夫そうだ」も言えないし、逆の「いつまでは無さそうだ」も言えません。
ご指摘のとおり、2024年中の第3相試験開始ができないおそれはあります。
私たちがやるべきことをすべて迅速に進めたとしても、私たちにはどうしようもないことで時期は変動します。時期に関する不確実性があることはご容赦いただきたいです。
その場合に2027年承認・上市の目標がどうなるかについては、承認されるプロトコールや組入実現ペースなどにもよるので一概には言えません。状況の変化があれば随時、情報を開示していきます。
ご質問いただいた「第3相試験の早期終了」は、第3相試験の途中のデータがものすごく良くて、規制当局がもうやめていいよと言ってくれるような話を指しておられると思います。
そういう事例が世界でこれまでにひとつもなかったわけではないので、「可能性はある」ことになりますが、それを前提とした2027年承認・上市目標を主張し続ける考えはありません。
「可能性がある」という表現は難しくて、髪の毛1本ほどの細い可能性さえあれば理屈上は「可能性はあります」と言えなくもないのですが、それを強弁するような会社を投資家の皆さんはお好みでないと思いますし、私たち自身もそれはずるいことだと思っていますから、「可能性がないとは言わないが実質的にはほぼないです」と正直にお伝えしたいと考えています。
逆に言えば、私たちが「目標として維持されている」「可能性がある」と言っていることについては、「髪の毛1本程度の細い可能性の話ではないのだな」とご理解いただきたいと思います。
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