マネジメントブログ

最近のプレスリリースとお問い合わせ

前回のブログ更新で年末のご挨拶をしてから、あっという間に3週間も経ってしまいました。
遅ればせながら、本年もよろしくお引き立ての程お願い申し上げます。

今回は、前回ブログ以降に公表した2つのプレスリリースに関する話題と、それらに対するものも含めIR問い合わせ窓口に最近寄せられたご質問への回答などをまとめます。

CBP501フェーズ1b試験拡大相FPI

2019年1月10日、「CBP501フェーズ1b試験拡大相 FPI(最初の被験者への投与開始)のお知らせ」を公表しました。

2018年12月18日に「被験者募集開始のお知らせ」を公表してから3週間でのFPIは、私たちが想定していたよりも早いものでした。

既に何度もお伝えしているとおり現在は免疫チェックポイント抗体と何かの併用の臨床試験が百花繚乱で、被験者の争奪戦がこれまでにないほどのピークに達しています。
CBP501のフェーズ1b試験は既治療歴のある末期の患者さんが対象なので大手製薬各社のひしめく最激戦地ではありませんが、それでも激しさは増しています。

また、これも既に公表資料の中で触れているとおり、今回の拡大相は、組み入れの際に課する検査などの条件をやや厳格化しているので、組み入れペースはやや遅くなると考えていました。

この早期FPI実現は、フェーズ1b試験の前半で実施した用量漸増相で現場の医師たちが得た良好な手応え(内容はお伝えできませんがメール等で少なからず伝わってきています)がもたらした面が大きいと思います。
今年最初のお知らせがグッドニュースであったことに、私たち一同も胸をなでおろしたところです。

東京大学医学部附属病院との共同研究契約拡大延長

2019年1月11日、「東京大学との共同研究契約拡大延長のお知らせ」を公表しました。

2017年3月に公表した最初の延長に続き、2度目の期間延長になります。
これまでやこれからの共同研究の具体的内容やその進捗については未だお話しできるタイミングではないので差し控えますが、このリリースの読み方のヒントを。

まず、期間の延長が前回の「2年延長」ではなく「3年延長」であることにご注目ください。
今回の延長では、前回よりもさらにまとまった期間を持つのが合理的だと双方が判断して合意したわけです。
その判断の背景にはもちろん、過去3年間の共同研究の内容や成果の認識があります。

また、今回は単なる期間だけの延長ではなく、研究内容も
「CBP501単独投与および(CBP501と)他の抗癌剤との併用投与」
から
「CBP501を含むキャンバスの研究開発に関連する医薬品・医薬品候補化合物及びそれらの併用」
に拡大することになりました。

この部分は、東京大学附属病院との共同研究に関する過去2回のプレスリリースに登場していない表現
「CBP501、CBP-A08など当社が開発中の抗癌剤候補化合物は癌微小環境に作用することがわかっており」
と併せて読んでいただくと、共同研究の範囲を次世代化合物の探索や最適化にも拡大する積極的な展開であることがわかります。

現段階でこれ以上はっきりお話しできないのは筆者としても歯がゆいのですが、
「概ね順調に(それなりの手応えを得て)共同研究が進んでいるのだな」
とご理解いただけると嬉しく思います。

IR窓口へのお問い合わせと回答

【CBP501フェーズ1b試験関連】

Q: ClinicalTrialsの更新にタイムラグがあるのは何故か。更新はいつになるのか。

ちょうどこのご質問を受けたあと、1月15日付で更新されました。

“CBP501, Cisplatin and Nivolumab in Advanced Refractory Tumors”
https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT03113188

Q: 用量漸増相のデータが公表されるのはいつか。

適宜のタイミングの学会に公表する予定で準備を進めています。

【東京大学医学部附属病院共同研究関連】

Q: 現在までの共同研究の成果はどうか。

共同研究の具体的内容やその進捗については未だお話しできるタイミングではないので、回答を差し控えます。
概ね順調な進捗であることは上記のとおりです。

【その他】

Q: 富士フイルムとの共同研究の進捗や成果はどうか。

東京大学医学部附属病院との共同研究と同様に、こちらについても未だお話しできるタイミングではないので、回答を差し控えます。

東京大学との共同研究よりも実戦に近い領域での共同研究であり、何らかの成果の公表を求められる度合いが大きいことは強く認識しています。
そのタイミングや方法を探っていますので、今しばらくお待ちください。

Q: SL-801の開発についてStemline社が公表している直近の情報についてコメントしてほしい。

Stemline社のウェブサイトやプレゼンテーションがすっかりELZONRIS一色で、SL-801(CBP9106)の情報が片隅に追いやられてしまった感はありますが、心配ご無用、開発は進んでいます。

同社の最新のコーポレートプレゼンテーション(2019年1月版)では、SL-801について下記のように記載されています。

“Regimen currently being revised in light of non-dose limiting GI effects”
“Plan is to resume at 65 mg/day for days 1-2 of one week cycle”
“Further updates expected throughout 2019”

(参考訳)
「用量規定毒性ではないが消化器系に見られた影響に鑑み、投与計画を改訂中」
「1週間サイクルで、最初の2日間に65mg/日を連続投与するプラン(注:従来は、週4日間連続投与を2週間して1週間休む)」
「2019年中の情報アップデートを予定」

キャンバス河邊からのコメントは下記のとおりです。

基本的には(ライセンス先とはいえ)他社の情報である上、技術アドバイザリー期間中のキャンバスは内部者情報を持っている可能性のある者なので、この件については同社が公表している情報だけをもとにコメントします。
今回の記載は、「用量規定毒性」ではない範囲ではあるものの消化管に毒性があることがこれまでの臨床第1相試験でわかり、より消化管の負担の少ない新たな投与計画への改訂を検討している、という内容です。
一般論としては、今後の開発の展望を広げるために投与スケジュールの最適化も試みる、「よく考えられた」臨床第1相試験を進めていると言えると思います。

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そういえば、そろそろ連載『創薬パイプラインの価値を考える』も再開しなくちゃいけません。
証券会社等のアナリストのかたがたをはじめ、各方面からも少なからずご好評いただいており、ありがたいことです。
業務の合間や通勤の途上や休日の時間を使って少しずつ書いており、時期のお約束は難しいのですが、近々の再開を目指します。

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2019年6月期第2四半期を終え、管理部では決算作業が本格的に始まっています。
第2四半期決算の発表は2月12日(火)、アナリスト・機関投資家向け説明会は2月20日(水)の予定です。