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第21期定時株主総会質疑応答

2020年09月30日 12:20

加登住 眞

昨日、第21期定時株主総会を開催しました。
このようなご時世にもかかわらず遠路ご参加くださった20名近くの株主の皆様、書面やインターネットで議決権行使を行ってくださった皆様、事前にご質問を送ってくださった皆様に、厚く御礼申し上げます。
(事前のご質問にはあらかじめツイッターでお答えしています。)

株主総会では例年以上にご質問をいただき、質疑応答に多くの時間を割くことができました。いつものように、この内容をブログでお届けします。

今回は、できるだけお話しした言葉に近い表現(ですます調)にしています。このためいつもよりやや長い記事になっていますが、より正確に現場の雰囲気を含めてお伝えできると思います。
基本的には書き起こしのままですが、ご質問についてはご趣旨の部分を中心に簡略化しています。また、回答についても、喋り言葉特有の繰り返しを書き換えたり言い間違いを訂正したりといった編集をおこなっています。ご了承ください。

また、例年どおり、株主総会のあとで「株主報告会」を開催しました。
この際に使用した資料はこちら(会社プレゼンテーション資料10月版)です。
今回は当社からのご説明が中心になり、会場の都合もあって質疑応答の時間がほぼ取れませんでした。
ひとりの株主様から当社経営陣へご指摘と叱咤激励をいただき、当社経営陣がそれにお答えしたやりとりについては、いずれ別の記事でお届けしたいと思います。

【株主総会質疑応答】

来年2〜5月に次の臨床開発の方向性を公表することについて、提携候補先と連絡を取りながら進めたいという記載がありましたが、ある程度具体的に候補が絞り込まれているのでしょうか。あるいは、昨年どこかでお話しいただいたような中国の企業などを含む多数の会社と引き続き検討や提案を進めているのでしょうか。提携交渉の感触等については公表できる範囲で早めに公表していただきたいと思っています。

(河邊)
株主の皆さんにとっても私たちにとっても、CBP501の提携獲得の行方が最もインパクトのある最大の関心事のひとつであることは承知しています。
しかし、毎回同じことを言って申し訳ないのですが、提携に関しては最後契約が成立するまで何が起こるかわかりません。当社自身、これまで何度も実際に痛い思いをしています。
現在、製薬企業やバイオベンチャーなどと多数お話をしていることは事実です。ただ、それらが提携に結びつく確率がどのくらいかなどの点については一切「わかりません」としかお話しできません。私たちが99%と思っていても話が流れたこともあるし、逆に、過去に成立した提携の中には成立の直前までまったく何%などと考えていなかった先もあります。
期待を過剰に抱かせてしまうのも間違っていると思いますし、期待がないと思わせてしまうのも間違っていると思います。
比較的はっきり申し上げられるのは、今回のフェーズ1b臨床試験膵臓癌の結果は「前に進む価値」があると私たちは確信しているので、その準備を着々と進め、来年の2〜5月に次の臨床試験の形が決まって概要を公表できるのはほぼ間違いないだろうということです。
繰り返しになりますが、提携に関しては時期や確率のお話はできません。
ただ、何がどうあろうとも、CBP501開発を前に進めることは間違いありません。

提携の話と関連して、合併もあり得るという発言が先ほどあったと思います。
今後社長にますます研究開発に没頭していただくためには、提携が一番とはいえ、そうした(合併等のような)形も含めて、このへんでいったん肩の荷を下ろしていただくのもいいのではないかと考えています。提携先Stemline社もそういう形(Menarini社による買収)になりました。
そういう形について社長はどのように考えておられますか。

(河邊)
まず、本日お話しした中で合併という話には触れていないので、その点は勘違いと思われます。
ただご指摘のとおり、開発を前に進めるための形については、もちろん提携が一番ですが、その他あらゆる可能性を視野に入れていますし、その多数の選択肢のひとつとして(M&は)あり得ると考えています。
私自身も会社の開発チーム・基礎研究チームも、CBP501をお薬として開発を進めることが患者様のお役に立てると確信していますから、これを前に進めるのが最優先で、そのための手段については比較的選ばず、好き嫌いは言わない姿勢です。
またもうひとつ、これまでに蓄積した知見やノウハウをもとに次の世代の抗癌剤を開発する力が自分たちにあると思っているので、それを活かせる状態で前に進めていくことを目指したいと思っています。

(加登住)
少々補足します。
「合併」という語が出ましたが、今回の株主総会で合併に関するコメントは一切しておりませんし、もちろん、何か具体的な話があるわけでもありません。
ただ、世界的な趨勢として、製薬企業がひとつひとつの化合物でなく対象創薬企業のパイプラインや創薬基盤をまるごとM&Aをする流れがあります。Stemline社の事例にも触れられたので、おそらくご質問のイメージはそちらだろうと思われます。
そうした形も含めて手段を選り好みせずに、というのが先程の河邊の回答の趣旨です。
ただ、いくら選り好みしないと言っても、現在キャンバスの有しているパイプラインCBP501などの開発が前に進むことが株主の皆様の価値の最大化であるということについては、今後の資本政策がどう動こうとも間違えずに進めて行きます。これが進まない、あるいは進むのを妨げられるようなお話には、どんな目先の条件であろうと飛びつかないつもりです。

CBP501の公表データで私たちは期待を持っていますが、臨床試験に参加されている患者様たちの反響について何か聞かせていただけるでしょうか。

(河邊)
実際に投与を受けられた患者様がどういうことをおっしゃっているかなどについては、あまり詳しいことは私たちのところまで伝わって来ない仕組みになっています。
ただ、臨床試験に参加する意欲のある患者様の様子については、反応が把握できています。
膵臓癌に関しては、CBP501臨床試験への参加を希望される患者様が大変多くおられました。後に評価不能症例が発生して組入れ完了は遅延しましたが、(それは不人気のせいではなく、枠の確保など)技術的な問題でこちらからお断りせざるを得なかったケースが多かったためです。
参加希望の多い理由は、必ずしも私たちのCBP501が良いからというだけではないかもしれません。膵臓癌の治療を2回受けられたあとの患者様にはもう推奨される治療法が存在しませんから、藁にもすがる思いで臨床試験を探されています。
とはいえ、なかなか良いものがないというのが現実です。
あまり詳しくは申し上げられませんが、実例をひとつご紹介します。ある大きな医療法人のCEOを務めておられる方がそういったご病状になり、たくさんの臨床試験をご自分で調査して、結局CBP501の臨床試験に参加されたという事例がありました。そのくらい、良さそうなものがない状況です。
さらにもうひとつ、既に学会発表しているとおり、CBP501フェーズ1b試験では初期に参加された患者様でとても良い反応が見られたので、医師にとって患者様へ勧めやすい状況だったという要因もあったと思われます。
そのような事情で、膵臓癌については患者様の登録が進みやすい状況でしたし、反響も好感触でした。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に絡んだ発表が先日ありましたが、キャンバスがCOVID-19にどう繋がるのか今ひとつピンと来ません。わかりやすくご説明いただけますか。

(河邊)
確かに、一見私たちの進んでいる方向と違うような印象を持たれたと思います。
新型コロナウイルス感染のあと肺炎になり重症化した患者様で、生命を落とされるようなケースでは、サイトカインストームと呼ばれる状態になっていることが比較的多くあります。
サイトカインストーム(サイトカインの嵐)というのは、いわゆる免疫細胞たちが「大変だ大変だ」とパニックを起こしたかのように、サイトカインやケモカインといった伝達物質による指令を片っ端から大量に出してしまう状態です。
理屈から言えば、その際にサイトカインストームを抑えれば、重症化した患者様の症状軽減ができるはずです。実際にそういった文献や動物実験のデータも公表されています。
そして、実はそのサイトカインストームという現象は、免疫系抗癌剤の副作用でも起きます。
それらのサイトカインストームは症状としては同じもので、したがって抑えるための方法も同じということになります。
つまり、(COVID-19由来で起きているサイトカインストームは)私たちが日々研究している領域で起きている現象なのです。
しかも、私たちが静岡県立大学と共同研究しているIDO/TDO阻害剤は、免疫系に作用する薬剤であり、これがサイトカインストームを抑える作用があるという報告があります。実際に理屈上も成り立ちます。
そのようなわけで、私たちが抗癌剤として開発しようとしているIDO/TDO阻害剤を仕上げていけば、そのままサイトカインストームを抑えるお薬になり得て、それがCOVID-19重症患者様に効果が出るのではないかという繋がりです。
ですから、私たちが実際に実験室レベルでやっていることはこれまでと変わりなく、キャンバスにとって何か新しい領域で追加的なことをやっているわけではありません。

そのIDO/TDO阻害剤がCOVID-19治療薬として開発が進められた場合、臨床の現場で使われるようになるまでにはどのくらい時間がかかるのでしょうか。

(河邊)
マスメディアなどで流れているイメージとは異なり、お薬ですから当然、当局の定めた動物試験や、ヒトでの臨床試験を進めねばなりません。順当に考えれば、承認までには長い時間がかかります。少なくとも来年の東京オリンピックには100%間に合いません(笑)
ただ、例外的なことが起きているのも事実で、さまざまなステップを飛ばしてワクチン開発を進めている話などもありますので、たとえば世界がパニックに陥るほど重症患者様が増えるような状態になれば、一般論とは違う近道的なルートができる可能性はあります。

CBP501フェーズ1b試験拡大相で奏効が出なかったことが提携獲得にかなり影響しているのではないかと感じています。あるアナリストレポートに「拡大相で1件でも奏効が出れば提携の可能性が出てくる」という記載があり、専門家の人はそこをポイントにしているのだなと理解しています。提携交渉先企業の担当者も、どこかで線引きする必要があると思われます。先に進むためには、いくらキャンバスが中成功と主張しても、大成功しなければダメだったのではありませんか。

(河邊)
ご指摘いただいた「奏効」という指標は、抗癌剤が効いている証拠として長く使われてきました。特に従来型の細胞傷害性抗癌剤の場合は癌を直接叩くものなので、癌が小さくならないならば効いていないだろうと考えるのが妥当でしたから、奏効は重要視されてきました。
その後、分子標的薬や免疫系抗癌剤の時代になり、癌は小さくならなくても同じくらいの大きさのままで癌と共存するような状況になれば良いということが言われるようになり、奏効でなくそちらを重視する流れもあります。
そのような状況ではありますが、たくさんの案件が持ち込まれる製薬企業が足切りをする際に奏効率を見るのはご指摘のとおりです。特に、初回治療や2回目治療で使われる抗癌剤の場合には、「奏効率がこれくらいないと最初から話も聞きません」となります。
一方、(CBP501が狙っている)膵臓癌の3回目治療以降ということになると、そもそも奏効が出ること事態が奇跡に近い出来事ですから、必ずしも「奏効がないからダメ」ということにはなりません。
また、そもそも奏効というのは「奏効があるならば生存も伸びるだろう」という前提に立った代替マーカーに過ぎません。実際の承認のハードルは、奏効でなく生存が伸びたかどうかです。
ですから本来は、癌のステージや治療回数(初回治療か2回目治療か3回目以降か)をひとつひとつ細かく見て、奏効を重視して足切りをするのが適しているかどうかを判断するのが適切なやりかたです。
もちろん、膵臓癌の3次治療で奏効が出ればそれは素晴らしいことですから、もし拡大相で奏効が出ていれば、最初の足切りには引っ掛からず、いきなり深い話から始められることになります。
奏効が出ないことでその最初の足切りのところでいろいろと言われるのは事実で、担当者や製薬企業によっては「奏効が出ていないなら話を聞かない」ということも実際にあります。ですが、「ステージ3の膵臓癌だから奏効は出なくても当然で、問題は生存期間だよね」ときちんと見てくれる会社もあります。
「奏効が出れば大成功、提携の可能性」というのは、「いろいろ言われずに交渉の最初のステップをクリアできる」という意味で、間違っていません。中成功の場合には、ちゃんと詳しく見てくれる相手でないと話が次に進みませんから、努力がひとつ余分に必要になります。

CBP501は、確か前回の第2相試験で結果が出ず提携先の武田薬品から切られています。そうしたハンディキャップのある薬剤を採用する製薬企業はないのではありませんか。万一失敗したら社内で立場を失うので、大企業の担当者が取り上げるとは思えません。いくら科学的には「次に進む価値がある」といっても、先に進むことが出来ないなら、ビジネスとして開発を打ち切ったほうがいいという選択肢もあるのではありませんか。

(河邊)
まず、「前回の第2相試験で結果が出なかったので武田薬品に提携を切られた」というご認識について。
まさにそういう思い違いをしておられる製薬企業の方もおられ、「そうではないですよ」と説明するのに苦労することもよくあるのですが、事実はまったく違います。
武田薬品との提携が解消となった時点では第1相試験のデータしか出ておらず、第2相試験の結果が出たからとか悪かったからとか、そういう話ではありません。
事実としてその時点では、CBP501について少しでも「悪いかもしれない」と見えるデータは微塵もありませんでした。提携解消はそれ以前の、同社の戦略の話です。
とはいえ、おっしゃるとおり、大企業にはそういった「失敗できない」という話も含めてさまざまなハードルがあるのは事実です。
だからこそ、欧米を中心として、ベンチャーが薬を創るようになっています。大企業の保守的判断では「そんなものダメだよ」と言われるものを、それを超えるところまで自力で持っていき、そこからビジネスを作るという仕組みが出来上がっています。
つい10年くらい前までは、ベンチャーが担うのは本当に早期の段階というのが常でした。しかし最近では、最後(承認)まで持っていくベンチャーが増えています。
そうしたベンチャーの人たちと話してみると、やはり私たちと同じような苦労をしてきていて、「結局最後まで進んじゃった」と言います。
そのため私たちは現在、絶対に提携ができないと開発を進められないとは考えておらず、多数の選択肢を考えています。
ビジネスとして開発を打ち切るべきではないかというご指摘の点については、まさに科学とのバランス(で判断すべき事項)です。
皆さんは、科学者である私には、少々ダメなものでもこだわるバイアスがかかっているだろうとご懸念を抱かれるでしょう。そのバランスを取るために、会社の中で主にビジネスの観点で判断する取締役や監査等委員、あるいは外部の方たちの意見を採り入れて、私がドン・キホーテのようにダメな方へ突き進んでいるのではないことを確認しつつ前に進んでいるつもりです。

(加登住)
河邊の回答の中で「主にビジネスの観点で判断する取締役」と呼ばれた者のひとりとして、その判断について少々追加でお話しします。
「ここでやめてしまったらここまで進めるためにかかったお金がもったいないので、少々ダメでもそのまま進めてしまう」というバイアスは人間誰しもあります。
そのバイアスから逃れて「ここまでにかかったお金」を捨てる決断をするために、何をどうやってももう戻ってこない「ここまでにかかったコスト」を一度忘れ、今からかけるお金(投資)が最終的に成果となり回収できるかどうかに着目する考え方があります。「サンクコスト」という考え方です。
キャンバスの取締役会の意思決定ではこの考え方を採り入れています。
また、私は役職のとおりファイナンスを主に担当していますから、その判断にもうひとつ、(進める価値の有無だけでなく)ここから先に進めるための資金調達ができるのかという検討ももちろん加えて議論しています。
製薬企業が評価して提携してくれるかどうかというのは、たくさんある判断材料のなかのひとつです。それが得られないというだけで前に進むのをやめるなら、それは私たちのようなベンチャー企業の存在意義の自己否定になってしまう面があります。
仮に今の時点で製薬企業が評価しないとしても、適切な方法で資金調達ができるなら、その投資をしていただいた人に利益をもたらしつつ、株式市場の皆さんにも利益をもたらしつつ、中長期的な企業価値を最大化しよう。そうした観点で意思決定をしているつもりです。
「打ち切りという判断もあり得るのでは」とおっしゃいましたが、まさにそのとおりで、私たちは、打ち切りの選択肢も常に持った上で(今後の投資が)それよりも価値があるかどうかを意思決定しています。

提携について海外も含めて話をしておられると思いますが、新型コロナウイルス感染拡大が海外との交渉やコミュニケーションに及ぼしている影響について教えてください。

(河邊)
ビジネス面では、これまで一度でも会ったことのある人については、新型コロナウイルス感染拡大の影響はありません。ビデオ会議は、時間的経済的に効率がよいだけでなく、特に外国の方とのコミュニケーションにおいては、喋るだけだと言語の壁によるミスコミュニケーションが起きたりするのを防ぐことができ、むしろこれまでより効率が良いと感じます。
ただ、初めてお会いする方たちについては、直接会うのと比べてどうなのかなと思うことはあります。とはいえ、そんなに大きな影響があるとは感じていません。

キャンバスも何年にもわたって膵臓癌の研究開発をしておられて、他社もそうなのに、膵臓癌の良い薬がなかなか出てきていません。先ほどのご説明でも、膵臓癌では今のところ「大成功」と言えるお薬はないようです。膵臓癌というのは、やはり相当難しい癌なのでしょうか。

(河邊)
はい、治すためのハードルがとてもたくさんある癌のひとつだと考えています。
最も治しにくい癌の中のひとつが膵臓癌であることは間違いないです。
もしお時間が許せば、このあとの株主報告会の中で、現在の膵臓癌領域の治療や開発の様子を少しお話しするつもりです。

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