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CBP501臨床試験のあゆみと近況

2018年01月30日 15:00

河邊 拓己

今回のブログは、CBP501の開発状況のご報告です。

その前に、繰り返しになりますが、CBP501臨床試験のあゆみの振り返りと、抗癌剤開発のパラダイムシフトについて。

CBP501臨床試験のあゆみ

既にこのブログでもたびたびお伝えしているとおり、CBP501は、プラチナ系抗癌剤の副作用を増やすことなく作用のみを高める(プラチナ系抗癌剤の癌細胞特異的流入促進)抗癌剤候補として、米国で3つの臨床第1相試験(単剤、シスプラチンとの2剤併用、そしてシスプラチン+ペメトレキセド(アリムタ)との3剤併用)と、2つの臨床第2相試験を終えています。
その結果、シスプラチンやシスプラチン+ペメトレキセドとの併用で、良好な安全性と、プラチナ抵抗性卵巣癌や悪性胸膜中皮腫で有効である可能性が示されました。

並行して進めていた、CBP501にとって最大の臨床試験であった非扁平非小細胞肺癌の臨床第2相試験では、残念ながら全体集団で効果は示せませんでした
しかし、試験後の解析で、白血球の値が正常なほぼ半数の患者さんが、とても良好な反応をしていたことが見つかりました。

その原因を突き止めるための基礎研究の結果、私たちが気づいていなかったCBP501の持っている能力を見出すことができ、

(1) 臨床試験の後解析で見つかった良好な反応が偶然ではなく、私たちが新たに樹立した仮説が正しい可能性が高まったとともに、
(2) CBP501に見出された大きく分けて3つの追加的抗癌作用の実験的証明を実施し、3報の論文としてOncotarget誌に掲載され、
さらに、
(3) 対象患者を選択するための新しい特許(米国では既に成立済み)ができました。

抗癌剤開発のパラダイムシフト

折しも、抗癌剤開発の世界ではパラダイムシフトが起きていました。

臨床試験の効果に関する目標は、従来、患者集団の余命の中央値が伸びたことを証明することであったのが、(結果として)劇的に抗癌効果を体感できる患者さんの割合が増えたことを証明することへと様変わりしたのです。

つまり、例えばステージ4という、癌が進行してしまって抗癌剤の役割は余命を数ヶ月伸ばす程度だと思われていたような場合であっても、劇的な余命の延長が見られることがある(中には治癒しているかもしれない人まで現れている)。
臨床試験は、そういう患者さんの割合を問う試験に変わったのです。

これを実現したのが、抗CTLA-4抗体 、抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体という免疫チェックポイント抗体です。

2010年あたりからこれら抗体に関して爆発的に多くの臨床試験が行われました。
その結果、いまでは、感受性のあった患者さんへの効果は素晴らしいが、大多数の患者さんはその恩恵を受けられないこともわかっています。

そこで、現在の大きな課題の一つは、如何にして免疫チェックポイント抗体に反応する人を増やすかです。
そのために、欧米では3000以上もの臨床試験が行われています。
既にそのうちの多くは、あまり効果がないことがわかってきています。

そんな中、CBP501に見つかった新しい作用が、理論的には、免疫チェックポイント抗体の作用を高めるのにぴったりなのです。
もちろん、マウスによる実験では、思うような効果を示しました。
(※ここで気をつけていただきたいのは、マウスの癌に効く抗癌剤候補の大部分は、人間では効きません。だから臨床試験が重要なのです。)

私たちは、これに照準を合わせた臨床試験(フェーズ1b試験)を新たに設計し、最速での臨床試験開始を目論みました。

CBP501臨床試験(フェーズ1b試験)の状況

CBP501+シスプラチン+抗PD-1抗体ニボルマブ(オプジーボ)の3剤併用によるフェーズ1b試験は、米国で昨年始まっています

その患者さんの登録の状況について少しお伝えします。

これまで、抗癌剤の臨床試験といえば、患者さんの登録が予定どおりに進まないのが当たり前でした。
個々の患者さんにしてみれば、余命の中央値を伸ばす従来の「新規抗癌剤」では、本当に自分に効いたのか、それとももともと余命が長かったのか、実感が湧きにくいことが理由の一つにあったと思います。

ところが、初めて抗CTLA-4抗体の成功が伝えられた時から、(確率は低いけれども、)ひょっとすると進行してしまった癌が消えるかもしれないという希望が持てるようになりました。
それから、米国では癌患者さんが臨床試験を求めて遠方まで出かけるということが頻繁に起きるようになりました。

私たちの実施しているCBP501のフェーズ1b試験も、おかげさまで今のところ、とても順調な患者登録が進んでいます。
それどころか、当局の規制に従った手順を守るためにやむを得ず、試験に入りたいと希望する患者さんに待っていただいたり、お断りをさせていただいたりしているような状態です。

もちろんこの先、効果の兆候が見えるかどうか、あるいは競合する他の臨床試験の状況などによって、患者さんの登録がぐんと遅くなることも十分考えられます。
ですが、現状、過去に経験したことのない順調な状況であることは確かです。

特に印象的だったできごとがあります。
それは、CBP501の臨床試験の開始訪問で米国の病院を訪ねた際、二人の臨床試験担当看護師さんが、
「私の患者さんは若いのでなんとか助けたいから、是非この試験に入れさせてください」
と頼んで来られたことです。

現場からこのような声を直接伝えられたのは初めてのことです。

まだ効果があるかどうかわからないけれど、他に(科学的な)すがる方法がないから、新規抗癌剤の臨床試験に入りたい。
そういう患者さんが溢れています。

✽ ✽ ✽

CBP501の開発は、もう何年も続けていて、はたからご覧になって「遅い」と感じられることと思います。
でも、こんなに時間がたっているのに、まだ、治らない癌で有効な治療法を求めて途方に暮れている患者さんが数えきれないほどおられます。

そうした患者さんたちに一日も早く新薬をお届けするために、私たちは引き続き全力でこの開発を進めていきます。

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