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株主報告会ピックアップ

2015年10月14日 16:30

加登住 眞

10月5日朝の適時開示『CBP501用途特許 米国特許庁より特許査定受領のお知らせ』についての深掘りご説明ブログ記事が飛び込んだせいで、やや旧聞に属するご報告になってしまうことをご容赦ください。

本日、去る9月25日の定時株主総会後に開催した株主報告会の動画をアップロードしました。
(『最新配信動画』のページでもご覧いただけます。『最新配信動画』は、「とにかく最新のIR動画を見たい」とのご要望にお応えするページです)
前回もそうだったのですが、会場録音の音質が悪く、一部聞き取りにくくなってしまっています。お手数ですが音量を大きくしてご覧ください。

「聞き取りにくい」とのご指摘にお応えする意味も含め、今日のブログ記事では、この株主報告会の中で特に会場の皆様にご興味を持っていただいた河邊の2枚のスライドについて、若干加筆修正したテキストをお届けします。

スライド「CBP501新知見」

「CBP501は、その独特なカルモジュリン阻害作用を介して、癌細胞特異的にプラチナ系抗癌剤の細胞内濃度を高めるだけでなく、他の複数の(未知のものも含む)メカニズムが作用して抗癌活性を示しているのではないか?」

非小細胞肺癌の臨床第2相試験で半分の患者さんの余命が伸びているという事実を説明するのに、このように考えないと説明できないというところに辿り着きました。

その後、この作業仮説の検証、つまり研究室内で実験をおこないました。

その結果、CBP501が「癌細胞の遊走能を抑制する」ことがわかりました。
遊走能というのは、癌が転移するために癌細胞が動く能力のことなのですが、それを抑制することがわかったのです。

それから、「癌細胞の免疫原性細胞死を促進する」こともわかりました。
身体の中で癌細胞が死ぬとき、免疫細胞から見つけられないように静かに死んでいくのでなかなか癌が退治されないのですけれども、それを免疫細胞から見つかるような死に方に誘導します。

さらに、「癌微小環境」。
もともと癌を治すための研究は「癌細胞そのものを何とかして殺す」という点に注力されてきたのですが、近年は、癌細胞そのものも大事だけれどもそれと同時に「癌微小環境」、癌細胞の周囲の細胞の役割が大きいことがわかってきました。
その微小環境で癌の増殖や転移巣の形成を促進している細胞、その代表格がマクロファージなのですが、CBP501がこの働きを抑制するということがわかりました。

そしてさらに、「癌幹細胞」です。
「凄いことばかりじゃないか」と思われるかもしれないのですが、実際にCBP501は癌の幹細胞の数を減らします。

そして、癌の転移に関与する上皮間葉移行の抑制
癌細胞というのは、もともと上皮細胞、静かにじっとしている細胞が、間葉移行で ~さきほどの「遊走」と半分重なっているのですが~ 動ける細胞に変わります。それをCBP501が抑制する。つまり結果として転移を抑制します。

こういったさまざまな内容が、実験室の中でデータが取れてきました。

・・・これらの知見によって、非小細胞肺癌の臨床試験で得られた結果をちゃんと説明できる、矛盾なく説明できるというところに辿り着きました。

スライド「抗癌剤治療のパラダイム転換」

少し大きな話題です。

「パラダイム転換」。
これまで常識だと思っていたことがガラッと変わるようなイメージです。
今年、抗癌剤のパラダイム転換がありました。
物凄く大きなことだと思います。

生存曲線。100%の患者さんがご存命のところからだんだん亡くなっていくグラフです。カプラン・マイヤー曲線といいます。

一般的にどの癌でも、何も治療しない場合の生存曲線はこのようなカーブ(図中の左下、グレーの曲線)になってしまいます。
どのような癌でも、当然、無処置であればこのように患者さんがどんどん亡くなっていってしまう。

これを何とかできないかというのがお薬の役目なのですが、いままでの抗癌剤や分子標的薬が実現できたのはカーブをこれだけずらすこと(図中の青色の曲線と矢印)でした。
「全体として」、余命をこれくらい伸ばす。
本当は1ヶ月しか生きられないはずだった患者さんがあと3ヶ月生きられる、それが抗癌剤なのですが、ところが、患者さんおひとりおひとりにとってみれば、「本当は何ヶ月生きられたのか」はわからないわけですよね。
自分の余命は1ヶ月だったかもしれないところに抗癌剤治療をして4ヶ月に伸びたと言われても、本当は最初から余命が4ヶ月だったのかもしれない。
だから、抗癌剤のありがたみというのは個々ではあまり実感できなかった。
全体として見るとこうして余命を確かに伸ばしているんですけれども、おひとりおひとりはあまり実感できない。

ですけれども、これがやれる精一杯でした。
誰だって癌を治す薬が欲しいに決まっているのですが、できない。これが精一杯。
我々もこれまでずっと一所懸命に考えて追いかけてきましたけれども、CBP501が今後いちばん上手く行ったとしてもできることはこれ、だと思ってきました。

ところが、今年のパラダイムシフトが、免疫チェックポイント阻害剤です(緑色の曲線)。
小野薬品さんのオプジーボがこれのひとつです。

免疫チェックポイント阻害剤。
大部分の患者さんには効かないんです。いちばん効く種類の癌である悪性黒色腫(メラノーマ)や肺癌で、10%そこそこ。20%以下の患者さんにしか、効く可能性がそもそもありません。
だから、生存曲線の最初のほうを見ていただくと、従来型の抗癌剤のほうが良いんです。
効かないほうのグループに入ってしまう患者さんにとっては、素晴らしい新薬と言われているこのお薬も何の役にも立たなくて、ふつうの抗癌剤のほうが良い。
でも、運良く、効くほうに入った場合は、2年、3年。本当は10ヶ月で無くなってしまったかもしれない人が、2年・3年と生きることができます。
というのが、免疫チェックポイント阻害剤のカーブが表していることなんですね。

自分がもし「末期の癌です」と言われたときのことを考えてみたら、「副作用はあるかもしれないけれども4ヶ月余命が伸びるかもしれない」という薬にすがるか、それとも、「確率は10%だけれども、年単位でぐんと、ひょっとしたら『治る』に近いかもしれない」薬か。
そう言われたらやっぱり、こちら(免疫チェックポイント阻害剤)のお薬のほうが欲しいと思います。

そもそも、身体の中にもともと備わっている免疫を使った治療が良いというのは誰でも思うことで、大昔からたくさん「免疫療法」が試みられてきました。
当たり前に、研修医だった私でも臨床のときには癌治療の本命が免疫だと思っていました。
でも、免疫で癌に効いたものはほとんどないんですね。
ごくごく稀な、腎癌のIL-2とか、すごく稀なものはありますけど、ほとんどの免疫療法は、効くことが証明されていません。
にもかかわらずすごい高額医療をしている人たちがいますけれども、効くことは証明されていません。

しかも、「免疫だったら悪いことは起こらないだろう」と一般に思われてきたんですが、悪いことはあるんです。
ある癌ワクチンの薬。ワクチンと言われたら「身体の中にあるものを打つだけだから少なくとも悪くならない」と思うものですが、でも、ワクチンで余命が縮む場合があります。
さきほどのマクロファージの話といっしょで、「その抗原を攻撃してはいけないよ」という命令をどんどん出してしまう場合があるんです。そうすると、余命は縮みます。

だからこれまで、科学者の世界では、免疫療法というのはいかがわしいものというイメージでした。

それが大きく変わったのが今回のパラダイム転換です。
本当に効いた。臨床試験でちゃんと証明できる。

ただし、効く癌の種類はとても少ないです。
悪性黒色腫。
それから肺癌の一部、10%程度です。
大腸癌はほとんど効きません。特殊な変異のある大腸癌には効きます。
卵巣癌については日本で先日の新聞に出ていましたけれども、今のところ「効きにくい癌」の中に入っています。ただ、このあいだの臨床試験で10%程度の患者さんに効果があったようです。

ともあれ、このように大きくシフトしました。

世の中の、今の抗癌剤開発では、「最適な併用」ということで、この曲線(赤の破線)のように、免疫チェックポイント阻害剤のカーブ(緑色の曲線)を上にどうやって上げていくかというのが課題になっています。
そのために、たくさんの併用療法が試みられています。ものすごく多数の臨床試験です。
その中の有力候補となっているのは、当然、いままでの抗癌剤を免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせて、『治る』に近い患者さんの割合を増やせないかという試み。
それから、最初のほうのカーブも右に動かして、早く亡くなってしまう患者さんを減らせないか。
そういう臨床試験がおこなわれています。

(2015年9月25日 株主報告会での説明に加筆修正)

ぜひ動画の全編をご覧ください

元の動画はこちらに掲載されていますので、もしよろしければ全部通してご視聴ください。

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