また1ヶ月ぶりのブログ更新となりました。
本日15時、2020年6月期決算短信を公表しました。
今回のブログでは、この決算短信の話題と、ここ1ヶ月程度の近況について。
まず、決算短信です。
2020年6月期の事業収益は110百万円と、2019年6月期よりも5百万円減少しました。
前期は、Stemline社との間でCBS9106(SL-801、Felezonexor)ライセンス契約の拡大延長があり、これに伴う一時金5百万円が加わっていました。
ところでそのStemline社ですが、今期、イタリアの製薬企業Menarini Groupに買収されました。
Menarini Group は、世界100か国以上にプレゼンスを持ち40 億ドルを超える売上を有する非上場企業です。
キャンバスでは、この買収によって同社が安定した財務基盤を有する親会社を持つこととなり、CBS9106開発が加速・拡大されるなどポジティブな影響の可能性を期待しています。
事業費用は676百万円、営業損失は566百万円となりました。
2019年12月2日に通期業績予想修正として公表した営業損失720百万円よりも、約21%損失が小さく着地したことになります。
この損失縮小は、業績予想修正の際にお伝えしたように、CBP501フェーズ1b試験の被験者組入れが遅れ気味になったことが主因です。
フェーズ1b試験の現在の状況は、膵臓癌については既に2020年6月にお伝えしたとおり「評価可能」10例の組入れを終えることができ、MSS直腸大腸癌についても少しずつですが組入れ活動が続いているところです。
この状況については、8月18日に予定している決算説明会(アナリスト・報道機関向け)でもおそらくご質問が来ると思われ、もう少し詳しくご説明することになると思います。
株主資本等変動計算書(決算短信添付資料9ページ)にあるとおり、今期は新株発行が149百万円ありました。
2019年10月に発行した第15回新株予約権の行使によるものです。
2021年6月期業績予想については、今回から、事業収益に不確実性が大きいことに鑑み非開示としました。
とはいえ、費用面については概ね予測ができており、これについては決算短信の添付資料「1. 経営成績等の概況 (5)今後の見通し」(添付資料4ページ)に記載しています。
2021年6月期は、販売費及び一般管理費については2020年6月期(234百万円)と同程度、研究開発費は2020年6月期(442百万円)よりも減少の見通しです。
✽ ✽ ✽
決算短信と同時に、「営業外損益の計上に関するお知らせ」も公表しました。
これに関しては毎四半期お伝えしているとおり、証券取引所の定める数値基準に従い開示するものであり、特段に何か特別なことが起きたということではありません。
✽ ✽ ✽
さて、近況です。
最近の公表情報「免疫応答に着目したCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)新規治療薬の開発に向けた助成金採択のおしらせ」について、まだブログに書いていませんでした。
これは「適時開示資料をじっくり読んでいただきたい」という趣旨で、ツイッターでも敢えて控えめな情報量にしています。
この公表に関し、一部では
「そんなことに手を出すより本業に力を入れろ」
といったご指摘もいただきました。
適時開示資料と内容は被りますが、改めてちょっとご説明しておきます。
今回の話は、従来から探索研究を続けていた抗癌剤候補化合物群(IDO/TDO二重阻害剤)が、同じ作用メカニズムでサイトカインストームの抑制にも効果が期待できることから、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療薬の研究も始めることにした、というものです。
この
「従来から探索研究を続けていた化合物群」
というところがポイントです。
化合物のことを予めよく知っていて、それを踏まえて着手するのです。
また、公表資料の2ページめ《注》にも記載しているとおり、この研究の成果や知見は、抗癌剤開発にも活用できるものになるはずです。
断じて、
「キャンバスは流行りに乗ろうと本業を離れ違う領域に飛びついた」
という話ではないのです。
「コロナ銘柄」などと持て囃してもらって地に足のついていない安易な過大評価をされてしまうのはとても心外ですが、一方で、当社のように確立した基礎研究基盤を有する創薬ベンチャーにはいつでも起こり得る(そして将来の企業価値向上の源泉にもなり得る)潜在力の現れでもあるので、これを過小評価もされたくないというのも、正直な思いです。
✽ ✽ ✽
設立20年目の節目となる今年2020年、キャンバスは創業以来積み上げてきた基礎研究の蓄積をもとに、研究標的領域を
「癌免疫領域」
に大きくシフトしました。
このシフトに伴い、これまで標榜してきたのと異なる多数の領域と隣接することになりました。
今回のCOVID-19治療薬研究プロジェクトもそのひとつです。
(この図は「会社プレゼンテーション資料(2020年8月版)」に掲載しています)
これを、別の切り口から整理します。
キャンバスの有している強みは、
「ペプチド創薬・低分子修飾+創薬ノウハウを持ち、ライブラリーから動物実験まで一貫して基礎研究を実施できる環境」
「B細胞、T細胞、樹状細胞等の免疫システムに関する知見の蓄積」
の2つです。
この2つの強みを活かして
「患者さんの満足度の低い重要疾患に注力したい」
というのが、キャンバスの意思です。
COVID-19治療薬の場合は、創薬ノウハウを持ちライブラリーから動物実験まで一貫して基礎研究を実施できる環境がある上に、癌免疫に関する知見の蓄積のおかげでアナフィラキシーについてもよくわかっているからコロナウイルス感染症の重篤例もわかる、キャンバスの強みが活かせます。
これによって、患者さんの満足度の低いコロナウイルスの重症患者治療に貢献できると考えています。
また、次の創薬プロジェクト(前回のブログで「Next」と書いたもの)も、
「ペプチド創薬・低分子修飾に関する創薬ノウハウが活かせる」
「癌免疫に注力しているため、基礎研究段階から領域をリードできる可能性がある」
「患者さんの満足度の低い癌を治せる、すなわち市場性も十分あると考えられる」
という、まさにキャンバスが目指すべき領域です。
これらについても、決算説明会や株主総会で可能な限りお伝えしていこうと考えています。
✽ ✽ ✽
8月18日の決算説明会は、会場開催とオンライン開催の並行を予定しています。
一方、9月29日予定の定時株主総会については、開催方法をまだ確定していません。
沼津へお越しいただける株主の皆様にはできるだけ対応したい反面、新型コロナウイルス感染症拡大の情勢は未だ不透明です。
できるだけ良い方法での開催を検討しますので、今しばらくお待ちください。
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