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G2チェックポイント阻害

当社は、正常細胞に影響が少ない抗癌剤の開発を目指しており、そのための具体的アプローチとして、細胞周期G2チェックポイントをターゲットとしています。

細胞周期

細胞周期とは、1つの細胞が2つに分裂するプロセスのことです。
このプロセスは、DNA(*)を複製するS期、2つの細胞に分裂するM期、並びに、それぞれの前に存在するG1期・G2期で構成されています。

G2チェックポイント阻害のメカニズム

DNAに損傷のあるまま細胞分裂をすると多くの場合に細胞(正常細胞も癌細胞も)は死滅します。これを防ぐため、細胞には、細胞周期の進行を一時的に停止しDNA損傷を修復する「チェックポイント」機構があります。「G1期」及び「G2期」のチェックポイントが主要なものとして知られています(以下、それぞれ「G1チェックポイント」「G2チェックポイント」といいます)。

*DNA
デオキシリボ核酸。遺伝情報をコード化して保持している生体高分子物質。ヒトでは約30億個の塩基対からなる。DNAには、正常な状態でも1細胞につき1日あたり数万から数十万回の頻度で損傷が発生することが知られている。損傷が修復されないと細胞の機能不全や癌化の原因となる。これを防ぐために細胞内には、損傷の検出・修復・修復不能時の細胞死誘導など、さまざまな機構が存在する。

従来型の抗癌剤の副作用と細胞周期

従来型の抗癌剤の大半は、正常細胞・癌細胞の区別なく細胞分裂を阻害しており、結果として、細胞分裂・増殖の活発な癌細胞に効果を発揮します。
一方で、たとえば消化管粘膜や骨髄の造血細胞、毛根細胞などは、癌細胞と同じように活発な分裂・増殖を繰り返して組織を維持しています。
従来の抗癌剤の無差別な攻撃でこれらの正常細胞の分裂が阻害されると、これらの組織の維持が困難になります。これが、下痢や嘔吐、骨髄抑制、脱毛など、一般に知られているような抗癌剤の副作用の原因となっています。

G2チェックポイント阻害

G2チェックポイントをターゲットとした場合には、正常細胞に影響を与えず癌細胞のみを攻撃する、副作用の少ない抗癌剤となる可能性があると考えられています。
正常細胞においてはG1・G2両方のチェックポイントがいずれも機能しており、なかでもG1チェックポイントが強く機能して細胞分裂時のDNA損傷がチェックされています。DNAに損傷が生じた場合には、正常細胞においては細胞周期がG1期で一旦停止し、損傷の修復が試みられます。
これに対し癌細胞は、もともと癌になるためにG1チェックポイントを壊したり機能不全にしており、結果として多くの癌細胞はG1チェックポイントを失っているので、細胞分裂時のDNA損傷チェックはG2チェックポイントに依存しています。
このため、DNAに損傷が生じた場合には、癌細胞においては主にG2期で細胞周期が一旦停止し、損傷の修復が試みられます。

G2チェックポイント阻害のメカニズム

このとき、G2チェックポイントの機能を阻害すると、癌細胞においては唯一のチェックポイントが失われることになり、癌細胞においては抗癌剤等によるDNA損傷が修復されず、細胞死が誘導されます。
その一方で、正常細胞においては、G1チェックポイントが正常に機能するので、G2チェックポイントの機能が阻害されても正常な細胞分裂への影響が少ないと考えられます。

G2チェックポイント阻害のメカニズム

このような理由から、G2チェックポイントをターゲットとする創薬コンセプトは、副作用の少ない抗癌剤を開発する有効なアプローチのひとつであると考えられています。

期待される新薬効メカニズム

米国国立癌研究所ジャーナル(JNCI)記事 (2005年7月20日)

G2チェックポイント阻害のコンセプトは以前から注目されており、当社が臨床試験を開始した際にはJNCIで特集記事が組まれました。

JNCI特集記事

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