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膵臓癌の臨床試験結果を踏まえた私たちの判断

2020年11月06日 16:45

河邊 拓己

提携先であるアドバンテッジアドバイザーズのご協力のもと、新たな資金調達をしてCBP501の開発を進めることを、昨日公表させていただきました。
もちろん提携獲得活動は全力で継続しながら、しかし、提携獲得を待つことなく自力でも、考え得る最速のペースで承認を目指しCBP501の開発を進めるという決断をしたものです。

いったい何を考えているんだ・・との声も届いています。
そこで、その「何を考えている」を少しお話しさせていただきます。
キャンバスでは、お金に関わるお話はもっぱらCFOの加登住がしてきましたが、以下は、資金調達にも大きく関わる私の考えです。

私たちは、今回の調達資金を使って、CBP501+シスプラチン+オプジーボの3剤組み合わせが膵臓癌の3次治療として有効であることを証明する最終試験(ピボタル試験)に進む計画です。
ひとまとまりの最終試験になるか、第2相と第3相という2つの試験に分けて行うかは、今後の当局との話し合いと、それを受けた後の私たちの判断によります。
この判断の経過などについても追い追いお知らせすることになるはずです。

当たり前の話ですが、他者様に資金提供や提携をお願いするかどうかは、自分たちなりに「リスク」「ベネフィット」「将来展望」を勘案して判断することになります。
もちろん、実際に資金提供や提携をしてくださる相手の方々も、それぞれが「リスク」「ベネフィット」「将来展望」を勘案して判断することになります。

現在世界で進行中の膵臓癌の臨床試験は、臨床第2相試験だけでも、標的分子と薬剤のタイプ(低分子、ペプチド、核酸、抗体、その他組み替え蛋白、ウィルス、細胞・・・)の組み合わせの数だけを数えても90以上あります。
さらに、同じ標的かつ同じタイプの薬剤で複数の臨床試験が行われているものもあります。
この第2相臨床試験の前にはもちろん第1相臨床試験が行われ(相当数が脱落し)ますから、臨床試験に入っている標的と薬剤のタイプの組み合わせは、気が遠くなるような数になります。
さらに、臨床に入る前の基礎研究段階のものはその何倍もあります。
これら無数のものたちの中から、基礎研究・前臨床・早期臨床のそれぞれの段階の厳しい基準に合格して(主に)製薬会社が「成功する(=薬剤としての承認基準をクリアする)」と判断したものだけが、何十億から何百億円もの資金投入を得て最終の臨床試験に進みます。

そして膵臓癌では昨年、この大きな最終試験(臨床第3相試験)で3つの新薬候補の失敗のニュースが流れました。
ちなみに、ここ10年ほど抗癌剤の最終試験の成功確率は10%とも言われています。

少しタイミングを遡ると、基礎研究段階を通過して前臨床に進めると決断すると、数億円規模の投資をすることになります。
この数億円規模の投資をする(受ける)ために必要な成功確率を見積もるために、さまざまな実験データの解釈が行われます。
実際、科学論文を見れば、基礎研究レベルで有望そうに見える標的は何百もあります。
この段階のものの(最終試験まで通過できる)成功確率は1%以下だと言われています。

まだわかっていない部分もたくさんあるヒトの身体の中で、許容できる副作用の範囲内で十分な効果を出さなければなりませんから、基礎研究データがいくら完璧に見えても、落とし穴はいくらでもあるということです。
ですから、早い段階のものは、どんなに理屈が良く見えても、成功確率が低く「リスク」が高いことになります。
そして、この「リスク」は、前臨床・早期臨床と開発が進むごとに小さくなって(つまり、成功確率が高くなって)いきます。
そのため、早期段階のものは、成功確率が低い分だけ提携の金額規模が小さくなりますが、そのぶん提携をするためのハードルは後期に比べて低くなります。

CBP501は現在、早期臨床をクリアした段階です。
しかも、肺癌と悪性胸膜中皮腫では臨床の中期ともいうべき時期(第2相)を通過しています。
そこで、これまでに得られた全てのデータを見て
「どんな臨床試験を組めばどのくらいの確からしさで承認が得られるか」
を見積もることになります。

もちろん、この見積もりは、見積もる人やその立場によって大きく異なります。

先ほど触れた、昨年ニュースになった膵臓癌での3つの大きな失敗。
ここでは結果が出てから書いているからズルいと思われるかもしれないのですが、私は結果が出る前から、周りの人に、この3つともうまくいくはずがないと話していました。

私が正しいと自慢したいのではありません。
それくらい、人(専門家でも)によって判断は分かれるということです。

少なくとも、失敗した3つの試験は、それらの製薬会社についていた大勢のいわゆる「権威」とされる科学顧問団は、成功するだろうとアドバイスしていたはずです(でなければ巨額の投資に進めなかったはずですから・・)。
その陰で、同じ規模の資金を投入して開発していれば成功したかもしれないいくつものプロジェクトを、その製薬会社や「権威」は見落としたかもしれません。
第3相臨床試験の成功確率は10%なので、製薬会社で導入評価を担当する人や「権威」は、全部にダメだと言えば90点の成績がとれることになります。

私たちは今回の臨床試験結果を受けて、CBP501+シスプラチン+ニボルマブの組み合わせが、最終の臨床試験で良い結果を出す可能性は十分に高いと判断し、さらに、成功した暁に得られる「ベネフィット」が「リスク」を取るに足ると判断し、最終の臨床試験に進めようとしています。
当然、人によって見方は違います。
私たちと同じように判断し力を貸してくれる会社や人や「権威」は少ないかもしれません。

しかしそもそも、「権威」が良いと思うものは、リスクを嫌いがちな製薬会社でも進めることができます。
権威の認めたものしか開発しないのなら、極論すれば、ベンチャーの存在意義はありません。
私には、ベンチャーがやるプロジェクトは、その時の権威が認めないものじゃないとダメなんじゃないかとすら思えます。

話を戻します。
私たちはベンチャーとして、これまでに得られたデータから、CBP501が癌治療に貢献し、その利益を得て、さらに私たち自身が研究開発を進めて癌治療にさらに貢献できる可能性(確率)が、今回のリスクに十分に見合うだけ高いと判断しています。
この「リスク」と「ベネフィット」と「展望」を考慮した上で私たちにお力をお貸しくださるよう、提携先製薬企業等や投資家の皆さんに求めています。

今回は、そこに力を貸そうと思ってくださる投資家の方が少人数ながら現れました。
これからも、私たちと同じように考えてくださる方が増えれば増えるほど、開発を先に進められるということだと考えています。

承認まで自力で進めれば、その結果の利益が総取りになりますから、欧米では、最後まで自力で進めてしまうケースも出現しています。
最近では、我々のCBS9106を導入したステムライン社や、CBS9106の競合品を我々より後から始めたのに市販承認まで獲得したカリオファームもその例です。
もっと有名で大きな例も、アムジェン、ジェネンテックなど枚挙にいとまがありませんね。

とは言ってもここは欧米ではなく日本。
その方針で上手くいく流れはまだほとんどありませんから、力を貸してくれる製薬会社を見つけるのがやはり第一選択になります。
今後も製薬企業等にも継続的に提携の働きかけを続けていきますし、開発が成功裏に進むごとに成功確率が上がりますから、先方の「リスク」と「ベネフィット」の判断も変わっていくと期待しています。

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