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臨床試験データ比較検討の現場をお見せします(第1回)

2019年12月11日 15:00

河邊 拓己

キャンバスの適時開示やブログには、「他の臨床試験と単純に比較はできません」という記載が頻繁に現れます。
しかしそれと同時に、「臨床試験の感触は良好です」という表現も、私たちはたびたび使います。

さまざまな投資家のみなさんとお話ししていると、このふたつの間にどのような判断があるのか、気にしておられることが多いようです。
「感触」の背景を他社の臨床試験の情報と比較して説明してほしいというご要望もよくいただきます。

そこでこのたび、数回の短期集中連載の形で、私たちが臨床試験の感触をつかむためにどのような検討をしているか、できる限り噛み砕いてお伝えしたいと思います。

ご留意いただきたいこと

連載の開始にあたって、この連載をお読みいただくときにご留意いただきたい点をまとめておきます。

1. さまざまな比較軸や比較指標をご説明しますが、これらがすべてではありません。

2. キャンバスのCBP501フェーズ1b試験(用量漸増相・拡大相)についてご理解を深めていただくための説明であり、必ずしも他の臨床試験を見るときにも応用できる一般論として正しいとは限りません。

3. わかりやすく全体像をご理解いただくことを優先し、細部の説明を割愛し、あるいは後回しにしている場合があります。

4. 業界情報など客観情報の記載については、信頼できると思われる文献やデータを踏まえ正確性を心がけて作成していますが、筆者およびキャンバスの知り得る範囲の情報に基づくものであり、筆者およびキャンバスは内容の正確性・完全性を保証するものではありません。

試験の特徴を踏まえた他試験との比較

「同種の臨床試験と比べて数字が上か下か」。

この比較軸は、一見すると定量的でわかりやすそうですが、実はなかなか一筋縄ではいきません。
というのは、世の中に「まったく同じ内容の臨床試験」はほぼ存在しないからです。

例えば、他の新薬候補化合物の臨床試験で

膵臓癌の70%で病勢安定。中には完全奏効も

という報道があったとしたら、
「キャンバスだめじゃん」
「CBP501終わったな」
と思われるかもしれません。
(余談ですが、提携交渉の場で相手のかたがそういう認識をしておられたケースもありました。)

しかし、実は従来型抗癌剤だけでも、初回治療(=既治療歴なし)を対象とした小さなグループで得られた数値ならば、そのくらいの病勢安定や奏効はあり得ます。
その臨床試験の対象がもし初回治療の患者群だったとしたら、従来の抗癌剤との差はありません。
その試験がもし既存抗癌剤と併用の臨床試験だったとしたら、併用している既存抗癌剤の効果を見ているだけかもしれません。

したがって、その情報だけでは、その新薬候補化合物の潜在力は判断できませんから、「キャンバスだめじゃん」は早とちりです。

きちんと比較するならば、比較しようとする臨床試験が有している特徴のひとつひとつに留意しながら、類似の臨床試験のデータと総合的に判断するしかありません。

キャンバスのCBP501フェーズ1b試験(用量漸増相・拡大相)は、

・既治療歴の多い患者さんを対象とし、

・ニボルマブ(オプジーボ)・シスプラチンとの3剤併用による、

・用量漸増相ではさまざまな癌腫、拡大相ではオプジーボやキイトルーダのような免疫チェックポイント阻害抗体単独ではほぼ効かないことが明らかになっている「既治療の膵臓癌」と「既治療のMSS直腸大腸癌(免疫チェックポイント抗体がよく効くことが判明しているマイクロサテライト不安定性(MSI)の患者さんを除いたもの)」を対象とした、

・用量漸増相17名と拡大相評価可能20例(膵臓癌・直腸大腸癌各10例)、合計で37例の小規模試験

という特徴があります。
これらの特徴はすべて、他と比較する際に考慮する必要があります。

次回は、それぞれの特徴について、このCBP501フェーズ1b試験のデータと他の文献や臨床試験データとを比較する際に検討するべき主要なポイントをご説明します。

(第2回に続く)

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