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富士フイルムとの共同研究が始まります

2017年06月26日 16:00

河邊 拓己

今日公表のとおり、キャンバスは富士フイルムと、ペプチドなど中分子による新たな免疫系抗癌剤の創出を目指す共同研究を始めることになりました。

富士フイルム株式会社との共同研究契約締結について

先方との守秘義務もあるのでこの共同研究の詳細については公表済みのプレスリリースを超える内容は書けませんが、キャンバスの歩みと今回の共同研究の位置づけ・意味合いについて、少しお話しさせてください。

今回の共同研究では、富士フイルムが、写真フィルムの研究開発で培った、高度な化合物の合成力や設計技術、抗がん剤の研究開発の知見やノウハウなどを活かし、ペプチド及び低分子化合物の合成・設計を行います。
またキャンバスは、ペプチドを用いた抗がん剤候補品の創薬研究で蓄積してきた経験に基づき、富士フイルムが合成・設計した候補化合物の薬効評価を実施します。
(共同プレスリリースより)

キャンバスは、癌の治療法を見いだすことを目的とした会社です。
長い基礎研究を経て、1999年、G2チェックポイントを阻害するペプチドの設計に成功し、翌年早々に会社としてスタートして、ペプチドの改良を手掛けました。

このペプチドを改良するに当たって私たちは、想定される標的分子1個1個を相手にするのではなく、生きた細胞としての挙動を指標としました。

その結果、非臨床では正常細胞に悪影響なく多くの癌細胞に対するプラチナ製剤の効果を高めるペプチドCBP501を獲得しました。
ご存じのとおりこのCBP501はその後、多少の紆余曲折を経つつも、引き続きキャンバスの最先行化合物として臨床試験段階に進んでいます。

キャンバス第2番目のパイプラインであるCBS9106も、同じ方法で獲得しました。
CBS9106は、Stemline社へのライセンスを経て、こちらも臨床試験段階に駒を進めています。

その後、CBP501が癌細胞に対するプラチナ製剤の効果を特異的に高めるのは、CBP501がカルモジュリン(細胞内のカルシウムを介した信号を調節する分子)に直接作用しているからであると明らかになります。

CBP501は、FDA規制下で行った早期臨床試験の結果、プラチナ抵抗性卵巣癌や悪性胸膜中皮腫で良好な効果をもつ可能性が示されましたが、最も大きな規模で実施した非小細胞肺癌の臨床試験では、全体集団では効果を示せませんでした。
しかし、試験開始時点で白血球数が正常であった患者さんだけを抜き出してみると、標準療法を受けた集団に比べて顕著に余命が延びていました。

科学は、ご存じのとおり、現象を説明できる仮説の構築とその検証の繰り返しです。
私たちは、この現象をうまく説明できる作業仮説の樹立とその検証にとりかかりました。

その結果、CBP501には、私たちが今まで気づいていなかった3つのカルモジュリンを介した追加的作用があることが判明しました。
この内容は2015年秋にボストンで開催された学会で発表し、現在は論文化を急いでします。そのひとつは先週、論文誌Oncotargetに掲載されました

さて、現在華々しく取り上げられている免疫チェックポイント抗体が効果を示さない患者さんに作用するようにするために必要と言われている改善点は、主に4つあります。

(1) CTLA-4、PD-1、PD-L1以外の免疫チェックポイント分子を押さえる。

(2) 免疫チェックポイントというブレーキではなく、アクセルとなる分子を狙う。

(3) 癌の免疫原性を高める。

(4) 癌微小環境における免疫抑制細胞を抑制する。

CBP501には、これら4つの主な改善点のうち(3)と(4)の作用があることが判明しました。
これに伴ってキャンバスは、癌の免疫療法の世界に足を踏み入れることになりました。
免疫チェックポイント抗体+白金製剤+CBP501の3剤併用臨床試験は、もうすぐ、患者さんへの投与が始まります。

そしてここに来て、パイプラインの重層化。

これまで長い間、CBP501とCBS9106(SL-801)がキャンバスの柱で、この2つに経営資源の大半を集中してきました。
一方で私たちは絶え間なく新規パイプラインの獲得を目指し、その結果、CBP501の次世代ペプチド、CBP501とは全く異なる新しい新規ペプチド、IDO/TDO阻害剤といった、複数のプロジェクトが前臨床試験入り近くまで育ってきました。

そんな中、今回の富士フイルムとの共同研究開始は、免疫系抗癌剤の研究開発をさらに重層化する取り組みです。
CBP501やCBS9106の研究開発を通じてこれまで培ってきたさまざまなノウハウを次のプロジェクト注ぎ込み、より早くより広く抗癌剤の種を発見し育てようという私たちの試みは、今回新たに富士フイルムという強力なパートナーを得ることによって、より力強いものになるはずです。
これまでに得たノウハウを複数のプロジェクトに同時に活用することにより、癌克服のための試みをより重層的かつ効率的に進められると期待しています。

キャンバスはいよいよ、静岡県立大学・ファルマバレー・東京大学に続き今回新たに強力なパートナーとなった富士フイルムの皆さんとも力を合わせて、パラダイムシフト後の新しい癌克服を目指して世界中の製薬企業がしのぎを削っている大きな戦いに本格参戦です。

何故なら、今、私たち自身も、これが癌克服への正しい道だと考えていますから。

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