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ASCO2016ご報告

2016年06月17日 08:13

河邊 拓己

今年も米国臨床癌学会ASCOに参加してきました。
ASCOは、癌治療に関する世界最大の学会です。
参加者数は、昨年3万7千人。
今年は6月3日から7日に開催されました。過去10年ほど、そして少なくとも2020年までは、毎年この時期にシカゴで行われることが決まっています。

昨年のASCOでは、免疫チェックポイント抗体である抗CTLA-4抗体・抗PD-1抗体(オプジーボなど)の主に単剤での治療について、現在の「標準療法」が変わるような決定的な臨床試験結果が華々しく発表されていました。
今年は、免疫チェックポイント抗体を軸に、さまざまな薬剤や他の治療法との併用での早期臨床試験の結果や途中経過の報告が数多くあり、昨年のような臨床での治療方針が変わるような決定的な臨床試験結果はありませんでした。
現在、無数ともいえるほどの臨床試験が進行中なので、来年・再来年と次々に結果が発表されてくることと思います。

一方で、数十人規模の臨床試験で大きな効果が期待されて大規模な後期臨床試験をしたものの、残念なことに全く効果が無いことが証明されてしまった、免疫チェックポイント抗体の悪性胸膜中皮腫での臨床試験結果報告などもありました。

ちょっと話はそれますが、昔から、少数の例外的長期生存例などを示して、その治療法にいかにも効果があるかのように紹介する話がありました。まだときどき日本のテレビなどでも見かけます。
欧米の偉いところは、きちんと科学的検証=臨床試験をして、効く・効かないをはっきりさせることですね。
そうして科学的事実を積み上げて来たからこそ、癌の治療法も進歩してきました。
癌については、そうした臨床試験結果の集まる一番の場所がASCOです。
しかも最近は、ほとんどの発表をASCO期間終了後もインターネットのバーチャルミーティングで閲覧できるようになっています。大切な事実を広く周知することに役立ち、また、間違ったことを言っていないかの検証にもなり、世界の癌治療のレベルの底上げや標準化にも大きく寄与していると思います。

さて、皆さん御存じのように免疫チェックポイント抗体が華々しく喧伝されているのは、進行してしまって抗癌剤(やサイトカイン)以外に頼れる物がない状態の癌で、長期にわたる癌縮小が、臨床試験で科学的に検証できるレベルで見られたからです。

もっとも反応が良いのが悪性黒色腫、次いで肺癌。
膵臓癌など、残念ながら今のところほとんどといって良いほど反応しない癌もたくさんあります。
2番目に反応が良いと言われる肺癌でも、長期にわたって効果が得られるのは、対象となる状態の患者さんのうち2割程度の患者さんです。
そのため、現在、この「反応する患者さん」の割合を如何にして高めるかが大きな課題です。
そのために、無数とも言えるほどの「免疫チェックポイント抗体+X」の組み合わせが臨床試験として試されています。

実は今のところ、数多く試されている物の中で、一番良い数字を出しているXは、化学療法剤(昔ながらの細胞傷害性抗癌剤)なのです。
この話、なかなか取り上げられないんですけど。
化学療法剤だと派手な論文にはならないし、ジェネリック医薬品を利用することができるので高額な治療にもならないからですかね…。

私たちのCBP501は、この化学療法剤のなかの一つ、プラチナ系抗癌剤の癌細胞での作用を強めるとともに、癌細胞を免疫原性細胞死というまさに免疫を賦活するような死に方に導きます。
つまり、「X=プラチナ+CBP501」は、とても魅力的な組み合わせなのです!

前にも書きましたが、肺癌の臨床試験第2相終了後、CBP501を抱えた私たちは一旦霧の中に入ってしまいました。
霧の中に入る前に目指していたのは、高校生の時に誓った
「癌を不治の病で無くする」
にはほど遠く、進行あるいは末期の癌患者さんの余命を数ヶ月延ばすことでした。

しかし、この臨床試験の結果解析から我々が気づいていなかったCBP501の作用を発見して霧が晴れてみると、目の前に、免疫チェックポイント抗体への反応性を高めることによりたとえ一部とは言え不治で無くする可能性が見えてきました。

今年のASCOを見て、その方向性に間違いがないとあらためて確信したところです。

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